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    ■2016/11/24(木) ■Marcos Jimenez~ソロピアノの魅力


    Marcos Jimenez(マルコス・ヒメネス?)は読み方さえおぼつかないくらい馴染みのないピアニストだった。ある時ピアノ・トリオ一辺倒だった私の嗜好がソロ・ピアノに傾き、そういう頃に出会ったのが彼のソロ盤『I Thought About You』だった。艶のあるフレージングと心に沁みる演奏というありふれた形容しか思い浮かばないのだが、ある時ある状態の私の心に強い印象を残す作品となった。スタンダーズの解釈が他の奏者とは一線を画し些細なフレージングの末端にさえ美意識が感受された。では他の作品はどうだろうと芋蔓式に検索するのが私の常であるが他をあたってみると数枚ピアノ・トリオ盤を出しているようだった。ジャケットを確認すると一枚を除き所持していた。最新盤は去年発売されているらしいが本邦の発売がないようなのでドイツのアマゾンへ発注した。遠く欧州の輸入盤ゆえ到着は忘れた頃となるだろう。それはそれで楽しみなのである…
    そういう訳でトリオ盤をもう一度新たな耳線(?)で聴いてみようと思っている。刺激の麻痺しつつある近況における私的な明るいニュース。先ずはソロ・ピアノの極み「I Thought About You」を強くお勧めしたい。

    2000年「After The Rain」
    2004年「Songs For The Tree」
    2008年「 Different」
    2008年「I Thought About You」
    2013年 「Awakening」
    2015年「Three Words」

    1960年生まれスペイン出身のピアニスト、マルコス・ヒメネス。スイスに6歳で移住、ジュネーブを中心に活動。

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    17:48 | トラックバック(0) | コメント(0) | Piano | Page Top


    ■2016/09/27(火) ■ゆえあってエヴァンス・ヴィレッジヴァンガード・コンプリート盤を聴く



    ゆえあって襟を正して音楽を聴くことから半年近く遠ざかっていた。久しぶりに自宅のオーディオ装置:そう呼ぶには些かショボイがアキュフェーズと小降りなJBLの組み合わせで音楽を聴く時間を得た。

    かく音楽飢餓状態で何を求めたかと言えばやはりビル・エヴァンスである。これも1年ほど前に遅かりしだが、かの1961年のヴィレッジバンガードのコンプリート3枚組を買ってラックの奥にそのままにしておいた。何故か今日、これは今しかないぞと言う想いに駆られて聴いている。

    持論だがビレッジバンガードのライブ盤はあの2枚で完成されていると思っている。レコードに針を落とし裏表を聴いて終息するまで…その選曲/取捨選択/順列を含めて一作品として演奏者/作成者の意匠であると思っている。それゆえコンプリート盤などは余計なものである、いやもっと言えば作品を穢すもの、冒瀆ではないかとさえ思っている。これは全ての盤に当て嵌まる。もちろん優れた盤に於いてであるが。

    けれど大方のエヴァンス・マニアにとっては発売されれば一番に飛びつく盤であろう。没にされた未収録音源が判る上に午後の部と夜の部の双方演奏順に全てが聴けるのである。垂涎盤と言っても過言ではない。もちろん彼らは直ぐに聴いたのだろうが。

    で、あまり好きではないコンプリート盤を聴いている捻くれファンの私は1枚目の#2で突然途切れた録音の"Gloria's Step"ですでにムッとしている。世界初収録と書かれているが、これではボツ必至だろう。

    もう1つ言いたいことがある。最近のCD盤によくあるのだが古い音源盤のCD化に際しテイク1やテイク2を何の配慮もなく並べて収録しているものがある。あれはいけない。全くトータルティとして、最初から最後までの一連の作品として盤を捉えていない。瑕疵も作品の一部とでも言うのだろうか?

    聴き進むとやはりアルバム収録の各曲の秀逸さが際立つ。未収録曲には未収録にされたなりの理由がある。当たり前だ。

    どうやら私の大好きなスコット・ラファロの重厚で沈鬱、悲哀のこもったベース・ソロが聴ける"My Man's Gone Now"はイブニングセット2曲目に演奏されたものだけのようだ。

    しかしそれにしても泣ける。まるで11日後、自らの命が亡くなることを知っていたかのようだ。切ない。
    23:46 | トラックバック(0) | コメント(2) | Piano | Page Top


    ■2016/08/08(月) ■アコギの夏 ~ラルフ・タウナー

    最近ピアノの話題ばかりだが実のところギターも大好きである。考えてみればこの小さな楽器こそ私の音楽生活(?)での最もつきあいの長い身近な楽器であろう。

    弦楽器の特性は危うさを内包した調和だと思う。危うさとは言うまでもなくキリキリと鉉で巻き取られた不服ある弦のテンションである。隙あらば破壊への衝動を常に腹包した6弦の反逆者達…

    ギターはアコギ(アコースティク・ギター)である。今やギターの代名詞的に席巻するエレクトリックなギターも時と場所で最高の盛り上がりやスリルを味わえるがその純度と深度においてアコギの敵ではないと思う。張りつめた弦から放たれる新鮮な音の拡散と集束、表板の原木を偲ばせる深い共鳴、フレットを走るスキップ音の作為なき輝き、どれも瞬時に消えゆく儚くも美しき現象だ…それゆえ一時とて目(耳)を離すことができずにいる。まさにその滋味掬すべしである。しかしこれらの美しき統制にふさわしい技量とセンスを備えた奏者は少ない。

    その少ない奏者の1人がラルフ・タウナーだ。クラシカルな技量から発せられるソロ・ワークの素晴らしさには唯々平伏するしかない。ウィンターコンソート、オレゴン等を経てECMでの活躍が顕著。その他多方面での活躍は一口にはダイジェストできない。私的には特に彼の奏する"Jamaica Stopover"というオリジナル曲が大好きである。跳躍するリズムとメロディとが一体となり醸す哀愁感の極み。子供のころ読んだお伽話の不思議な国の音楽のように強烈な感興を覚える。未聴の方がいらっしゃたなら是非にお勧めしたい。1989年録音ECMレーベル『City of Eyes』初収録、アナログではA面一曲目に盤中では唯一のソロ演奏だ。あと忘れてならないのがマーク・コープランドとの1993年の共演盤『Songs without Ends』で、ここではコープランドのピアノがタウナーのギターとセンシティブに絡み最高の演奏となっている。双方甲乙つけ難く両者必聴だ。http://youtu.be/uBGWkxwL7vU


    06:38 | トラックバック(0) | コメント(0) | Guitar | Page Top


    ■2016/07/17(日) ■『Signal Sessions』の話


    同じ過ちをおかすことには自ら知り得ぬ何か潜在する深い訳があるのではないかと思う時がある。
    例えば今回紹介する『Signal Sessions』である。知る人ぞ知る盤であるが知らない人は知ることがない…当たり前だが。今を遡る60年、西暦1955年、本邦 昭和で言えば30年の録音である。私はこの2枚組CDが好きで、きっと生涯盤だろうと思っていたのだが、以前もお話ししたチャリを買うのに売っぱらったCDの内に入れてしまったらしく、どこを探せど出てこないのだ。無いとなるとどうしても入手したくなるのが人の常、いや私の性格である。いたるところに手を伸ばして求めたが能わず。…まあいっかCD1枚くらい、いや2枚くらいと思いこませようと努力していたやさき遂に見つけてしまったのだ!JR御茶ノ水駅聖橋口前のDU、普段は殆どジャズ東京に行くばかりで見向きもしない店である。もしかして私が売ってしまったものが廻ってきたのか!とも思う。そう言うことを差し置いて、実に嬉しい。"一粒で2度美味しい" とかいうキャチ・コピーを思い出して微笑む。
    で、問題提起:この喜びを得るがために私は無意識の内に売ってしまったというのか…まさかね?!
    15:48 | トラックバック(0) | コメント(0) | Favorite Rare CD | Page Top


    ■2016/06/28(火) ■Grant Levin ~ジャズ盤蒐集再燃~

    長年蒐集したジャズCDの一部を売っぱらって2台目のロードバイクを購入したという話は以前アップした記憶がある。軽く売っぱらってと言ったがそれはそれで付帯する様々な負荷がある。先ず大きな障壁となるにはどれを売ってどれを残すのか?という選別の問題だ。ピックアップには改めて聴くしかなく、この行為が非常に労を要するのである。但し幾ばくかの良い点もある。聴いてみてこれは好いなぁと改めて認識することも大いにあり得るのだ。そんな一枚がGrant Levinの『The Bust』である。女性に見紛う容姿の美しさから或る友人などは女性ピアニスと思い込んでいた。名前がGrantであるから男性であろうことはおぼろげに察したがその繊細なタッチとエッジの効いたフレージングは女性的でもあり男性的でもありその誤りは容易に理解が及ぶ。彼の作品はこれ1枚しか手元に無く確か自身のポートレイトをジャケにしたものがありこれは既に手放した記憶が薄くある。また後年もう一枚出していた事も記憶にある。そう言うことで売ってしまった盤はさて置き、
    後年発売の1枚を探す旅が始まったのである。調べると後年盤は2007年録音でアラジンのランプのジャケと蓋のヒンジの縦ラインにオシャレにも飾り玉が入っていることが分かった。手持ちの2004年録音『The Bust』には何と赤いサイコロが2つ入っている。(写真参照)いやはや実にオシャレなことだ。この手の意匠はこれを他に見たこともない。

    以来、機会あるごとに中古ショップを探す日々が続く。勿論ウェブサイトでの探索も行ったのだがなしのつぶて。ますますアラジンの魔法のランプ・ジャケが頭から離れなくなったのであった。そう言うことで今日は浦和に行くと直線的にJszzCD売り場に向かったのであった。そして発見。久しぶりの感動であったが、私の中ではもう1人の冷ややかな自分がいて嬉しさを膨らめることができずにいた。(なぜか?インタバルがありすぎたか?)

    早速聴くと前作と同じ面子で同様なタッチと疾走感が素晴らしく3曲にフルートが加わるが決して邪魔ではない。寧ろメロディの輪郭が美しい残像を結び感動的でさえある。

    その場で米アマゾンに最新作をオーダーする。また1人お気に入りのピアニストが加わったことになる。嬉しい。

    ジャズ盤蒐集再燃の件りでありました。お粗末。










    22:45 | トラックバック(0) | コメント(4) | Piano | Page Top


    ■2016/05/30(月) Jazzお茶ノ水博士と幻のピアノ・トリオ盤の話

    最も足繁く通ったCDショップと言えばディスクユニオン(DU)。中でも特に『Jazz東京』であろう。昔は『お茶の水店』として現在の『Jazz東京』店舗の道路を挟んで向かいの雑居ビル1-3階で営業をしていた。嘗ての中古レコード店の雰囲気がプンプンとする店舗と現在の『ジャズ東京』とのそれでは洗練度合いにおいて隔世の感がある。もちろん私が愛着を感じるのは嘗ての店であるのは言うまでもない。

    当時そのお店で頻度高くお会いし顔見知りになった方がいた。茶ノ水でお会いしJazzに造詣が深いので"Jazzお茶ノ水博士"と勝手に呼んでいた。もちろん私の心の中だけでである。

    或るとき異動で私の勤務地が銀座から埼玉の田舎になり嘗ての頻度でDUに行くことができなくなった。加えてロードバイクに嵌った時期でもありCD3000枚ほどを処分し2台目のバイクを購入した。ロードバイクに嵌ったからジャズ熱が冷めたのかジャズ熱が冷めたからロードバイクに嵌ったのかは定かではない。かくて私の足は『Jazz東京』から少しづつ遠退いていったのであった。

    過日、久しぶりに所用があり夕刻の神保町へ行った。『Jazz東京』の近くまで来たので懐しさにまかせ寄ってみる事にした。階段を上がるとジャズメンのポートレイトがディスプレイされており昔のままだ。踊り場をグルリと登りきり店舗に向かうと目の前の通路立つ懐かしいシルエットが飛び込んできた。イヤハヤ、"Jazzお茶ノ水博士"が新着CDコーナーを眺めているではないか!

    そういう訳で再会を果たし、遂にはとりとめのないジャズ談義の坩堝に嵌ってしまったのである。ジャズ熱が冷めたと言ったがどうやら内なる燠火は消えてはおらず炎をあげるのに数分とはかからなかった。いともたやすい再燃である。

    そこで博士から得た情報ではタイムレス・レーベルのCD発売が怒濤の如くで、あの終ぞ待ちわびても成らなかった Limetree のIrvin Rochlin Trio 『Quirine』が国内盤CD化されたと言う。もちろん即行で購入したことは言うまでもない。

    さて、この1980年録音のピアノトリオ盤である。あのジャズ批評『ピアノトリオ1600』にも掲載はなく、今まで言及したものと言えば同『ヨーロッパのジャズ・ディスク1800』に "しみじみとするトリオ作『Quirine』" という簡素なキャプションだけである。後年、Moonksの鎌田寛明氏により『Jazzとびきり新定番500』で紹介されるがそれまでは大きく世評に上がることはなかったと思う。

    何故にこれほど優れてセンシティブなピアノトリオ盤が今までCD化されることなく埋もれていたのか?ジャケ写の愛らしい女の子の笑顔が健気に思えるのは50歳半ばにしての初リーダー作にしてマイノリティに埋もれていたことへの感慨からであろう。

    国内盤ライナーは尊敬して止まない杉田宏樹氏の手になるが流石にエヴァンス通の氏は鋭くもロマンティックな筆致で言及する。エヴァンス74年『Intuition』にこのIrvin Rochlin作" The Nature of Things"が収録されているが、一体エヴァンスはどのような経緯でこの曲と巡り合ったのか? と問う。答えは歴史に埋もれたままと締めるが何と余韻を残すライナーであろう。

    音楽にロジカルな理屈は不要だ。ひたすら心を静めて耳とを結ぶ所爲だけを希求する。ある時はバッピッシュであるが底流する美は #6 "Little B's Poem" ( B Hutcherson )に極まる。涙を誘ってやまない演奏だ。堆積した時間の哀しみが沁水のようにつたってくるからに違いないのだ。

    是非に一聴をお勧めする。
    08:07 | トラックバック(0) | コメント(2) | 音楽/楽器別の分類 | Page Top


    ■2015/09/19(土) Long Good Bye

    長いご無沙汰になってしまった。ブログごと削除になってしまったのではと危惧したが、幸いにして在った。

    なに故のブランク?と問われればもう既に何度も記事にしたので執拗だが、答えは明白。年寄りの冷水でロード・バイクを始めたらこれに嵌ってしまったのだ。乗って間もないころ試しに山へ向かった。バイクや車で登ったことのある近所の低山である。しかし舐めてかかったのがいけなかった。バイクや車はエンジンがあるがこのロードバイクのエンジンは自らの身体。貧弱な出力のチャリンコは数百メートル登ってギブアップした。なんだか鉄の壁に突き当たった感じである。へそ曲がりな私は限界という言葉をリアルに感じながら爾来、気候にもよるが週1回くらいの割合で近くの峠を登り苦しさは快感に繋がると言うことを体で理解している(?) どうやら人間は幾つものことに集中できない仕組みらしい、以前のように頻度高く音楽を聴くことがなくなった。それでもチャリで走っているとジャズの好みの曲が頭を流れてくることが間々ある。

    さて お留守のジャズであるがこの前の休日、家人の実家に行ったついでに中古CDショップを訪ねると思わぬ拾い物をした。で、最近この盤がヘビーローテとなっている。女性ヴォーカル盤である。私的にはジャズ・ヴォーカルという区分けをしているが演奏するご当人達はユニットと言う認識らしく"The Minimum Trio"と称している。録音は2009年バルセロナ。古い盤ではないが発売から5年は経っている。勿論この盤についての情報は一切なく何時ものことであるが試聴一発でKOされ即買いした。そのトリオ、魅力的なヴォイスの歌姫(Laia Porta)にピアノ(Francesc Capella)とペット(Damon Brown)の奏者が加わるという編成でまさにミニマム。何はともあれLaia Portaという唄い手の歌声が実に好い、しっとり艶のある彼女の声質にすっかり惚れてしまった。ヴォーカル盤の優劣は声質が全てと言っても過言ではない。少しぐらい伴奏がお粗末でも唄い手さんの声質が好ければ許せるがその逆は駄目だ。如何に演奏が超一流でも唄(声質)が好みとかけ離れていてはいけない。しかしこの盤に関しては演奏も好い。しかもヴォーカルに似合うシンプルな構成。そうそう、よく見たら Jordi Vidal がミキサーを担当している。唯一彼だけ知っている。

    #1 標題曲" I'm Confessin' That I Love You" この曲と言えばモンク。ソロモンクでのモンク節が絶対的な印象をもつので他の演奏を思い浮かべることができない。しかしこの唄はその神話を覆すかも知れない。ゾクゾクするほど好い。
    #11 "Polka Dots And Moonbeams" これも好きな曲なので様々な唄を聴いてきたが、中でもなかなか好い出来の方だと思う。

    この2曲が出色か。

            
    Sep17_03.jpg
              The Minimum Trio 『I'm Confessing』
        (2009年バルセロナ録音Nomad Jazz Records NJR002)



    もう一枚。
    とりあえずジャケ写だけアップ。今日は遅いので・・・詳細は後日。

             
    Sep18_01.jpg

               Vanessa Bley 『Twin Danger』


    00:06 | トラックバック(0) | コメント(0) | Vocal | Page Top


    ■2015/02/22(日) 海辺の再会盤の話

    痛めた肋骨も8割方良くなったので家の近くを自転車で周回してみた。何とか乗れそうな嬉しい感触を得る。かれこれ1ヶ月以上の休養となった訳だが季節も冬であったのが不幸中の幸い。暖かい時期であったら走れない歯痒さに苛まれたことだろう。

    過日そんな無聊をかこってデビッド・フリーゼンとダニー・ザイトリンのデュオ盤を聴いた。フリーゼンとザイトリンのデユオ盤は何枚かあり以前ブログで採りあげたのが1996年録音1999年発売『Live At The Jazz Bakery』だった。今回の紹介盤は2000年発売の『In Concert』である。ライブ音源で4カ所の会場で収録されたもの。残念ながら録音年月のクレジットが無く『Live At The Jazz Bakery』とどちらが新しい音源かは分からない。しかし切れの好さでは今回の『In Concert』に軍配が上がる。こういう音楽を聴くと決まって抱く疑問がある。"私という現象"(宮沢賢治風に…笑)はどのような音の有り様(?)に対して感動を抱くのだろうか?というものである。その構造/仕組み/現象はどうなっているのだろうかという根源的な疑問が湧いてくるのだ。それはビル・エヴァンスのフレージングのカッコ良さはどこからくるのかと同様皆目わからない。わからないとわかりたいという原動力が必要となる。最近ジャズが面白くないと後ろ向きの発言が頻りの私だが暫しそんなネガティブな状況から離脱できそうだ。

    補足:CDのジャケットはアナログのそれと比較すると軽んじられているような気がするのだが私は些かの拘りがある。で、ひとつ言い添えればこのCDジャケット、掲載のものは多分再発のものである。オリジナルのものは2人の顔がアップで写されたものであるがカビに侵食されてアマゾンの海外サイトで購入すると内容は同じだが別物が届いた。残念だ。

                
    Feb22_01.jpg
            Denny Zeitlin / David Friesen 『In Concert』
                   (Summit Records DCD265)
                      #   All Tune

    閑話休題。

    Francis Lockwood というピアニストがいる。確かな腕前のある幾分ロック寄りのピアニストの認識がある。確か弟もいてバイオリンを弾いていた記憶がある。そのフランシス・ロックウッドであるがBruno Micheliというハモニカ吹きと共演盤を1990年に作っている。淡白な筆致で描かれた海辺の風景画のジャケットが爽やかだ。大昔何の間違いか手離してしまった。以来、その盤のことが気になって仕方がない。どうにか再び入手できないものかと思っていた。何年も事あるごとに様々なチェックを入れているのだがサッパリ情報がない。ああ、やはりあの時手離さなければよかったのだという後悔の念だけが心の片隅に巣食って行った。しかし世の中は皮肉なものだ。諦めかかっていた矢先、過日普段は素通りする聖橋口のDUになんの気なしに寄ってみると、かの懐かしい海辺の崖のジャケット盤と邂逅したのである。実に**年振りの再会である。勿論直ぐに購入したのは言うまでもない。それは哀愁感に満ちたブルーノのハモニカとロックウッドの極美ピアノとが織りなす一幅のタペストリー。市場に流通しない訳がわかる。

                 
             
    Feb08_01.jpg
               Francis Lockwood / Bruno Micheli
                         『OPALE』
                   (JTB Productions JTB02) 
        

    23:07 | トラックバック(0) | コメント(0) | Harmonica | Page Top


    ■2015/02/22(日) 珍屋 ~"猫棚"稀少盤の話~

    出張の帰路、ぼんやりと車窓を眺めながら過ぎし日のジャズ盤蒐集の交々に考えを巡らせた。真に心震わす感動盤は何枚あったろうか?あの盤はどこで入手したのだったろうか?等々...ジャズ盤蒐集に関わる瑣末なことを回顧(?)していた。嘗ては遠く地方のショップを訪ねたことも何度もあったし何時間も並んで入手した盤もあった。愚かにもエネルギッシュな日々であった。廃盤セールに並ぶ顔なじみの仲間も何人かいたが寂しいことに徐々に人数が減った。それは或る時期レア本掲載盤を筆頭に再プレス・ラッシュが始まった、まさにその時期と符合する。しかしそれでも忘れられない特別な盤が数枚ある。

    稀少盤ゲットで言えば最大手の総合ショップ "ディスク・ユニオン"での蒐集数が断トツだろう。廃盤セールその他廃盤コーナーで入手した所謂"稀少盤"や"廃盤"については枚挙にいとまがない。加えて新たな稀少盤の発掘も含めある種のイノベーター的な存在と言える。その良し悪し/功罪はさて置き、今回はそういう気概は全く無い であろう(揶揄しているわけでは決してない) "珍屋"の話である。

    国分寺に"珍屋"という中古レコード屋がある。何年もの間訪ねていないので今現在あるのかどうか不明だ。その珍屋で私は2枚の稀少盤、私的には貴重盤と呼びたいCDを入手した。

    珍屋は国分寺に3店舗ある。車で行くと国立から国分寺駅前を過ぎ緩い坂を下ってトヨタのディーラーの角を左折し直ぐを右折すると2軒目左が件の珍屋である。1軒目角の店は何故かいつもシャッターが閉まっているのでその前を少し借りて駐車する。昔の駄菓子屋にあった様なペンキの禿げかかった白枠の硝子戸を開けるとレコード満載の段ボール箱が迷路を作っている。右奥の立った箱にお手製インデクスが挟まれたジャズCDコーナーがある。在庫はいつも沈滞気味でそこだけ時間が止まっている様だ。で、残念ながらこの店でこれはというCDに遭遇したことは無い。いつもここへ違法駐車(!)して駅の向こう側にある2軒の店に行くことが多い。勿論店のお兄さんへ向こう側の珍屋行く旨は言っておく。何度も行っていると所謂"顔"になって事はスムーズに運ぶ。

    ガードをくぐって駅の向こう側へ歩き左に曲がって少し上ったところ右、確か花屋さんの辺りに国分寺2軒目の珍屋がある。狭いドアを開けるとレコードが陳列され左奥にCD棚がいくつかコンパートメント状にある。その2ヶ目の棚の上が"猫"の定位置である。勿論置物ではなく生きている猫である。その"猫棚"(?)の右上で私は生涯の愛聴盤2枚を入手した。

    一枚目はチェット・ベーカー国内盤CD『ミラノの枯葉』1977年ミラノのスタジオ録音盤。1991年に国内CD化されたが何故か入手し損なったままになり私的に幻化していた。チェットの恋人ルース・ヤングもヴォーカルで2曲参加しておりまさに血眼で探していたものだ。今だあの棚の一角にこの盤を見つけた時の驚きと喜びの感覚は忘れない。またルース・ヤングの深く哀しい"枯葉"の歌唱は生涯の一曲である。あれから数十年経つがこの盤は入手盤以外で1枚しかお目にかかっていない。因みにジャケットは違うが数年前に輸入盤で発売された。輸入盤のジャケがアナログ的にはオリジナルかも知れないが心情的に私はこちらが断然好い。

       
            
    Feb22_03.jpg
               チェット・ベーカー『ミラノの枯葉』
              (1977年 Milano 録音 KICJ57 ) 

    もう一枚はこれも国内盤である。ラズロ・ガードニー『シークレット』1986年録音のピアノ・トリオ盤で1988年国内CD発売された。後年(2005年)あのレア本が発売され初っ端1枚目に収録されてブレークしたが当時は普通の値段で購入できた。この盤も内容秀逸で今聴いても全く古さを感じさせないピアノ・トリオのマスターピースだっ。

            
    Feb22_02.jpg
                ラズロ・ガードニー『シークレット』
             (1986年 Boston 録音 P33D 28015 )

    各入手の際、余りの嬉しさにゲッとかウッとかの声を出してしまったことは確かでさぞや猫も驚いたに違いなかった。あの猫は存命だろうか? もしやこの2枚、あの猫に導かれてゲットできた盤かも知れない。(笑)

    因みに3軒目は2軒目を右に出て直ぐの左側。ゴチャゴチャ狭いところで、此処も残念ながらこれという盤を入手したことは1度もない。

    最早私自身、血眼で捜す盤は取り立ててないが、ふとあの街を訪ねてみたい気がする今日この頃である。


    14:57 | トラックバック(0) | コメント(4) | Favorite Rare CD | Page Top


    ■2015/01/25(日) 骨折とドン・トンプソンの話

    肋骨を折った。これで2度目である。1度目はゴルフを始めた頃だった。ガムシャラ に練習場に通いオートティーアップで上がってくるボールをひたすら打ちまくった。連日そんなエクササイズというよりは筋力増強の苦行(?)を繰り返していたところおかしな痛みを脇の下に感じた。そこで整形外科に行くとアッサリとゴルフ骨折と診断された。当時ゴルフ骨折なる知識/概念が私になかったので医師にからかわれたのかと本気で思った。肋骨は軟骨部があり他の骨のような解り易い骨折とならないようだ。そして今回、お恥ずかしい話だがロードバイク(自転車)から落車した。寒さ防止のストッキング状のものを脚に履いていたのだが長くペダルを踏んでいるとずり落ちる。それを引き上げようと手放して突然落ちた。全くの油断。したたか胴体を地面に打ちつけ数秒動けなかった。幸いバイクは若干のハンドル修正で大事はなかったが帰路、路面の段差を越えるたび肋骨辺りの痛みを感じた。帰宅後悪化の予感どおり苦痛は増し整形外科のお世話になった。不幸中の幸いだったのが軽度だったこと、そしてより幸いだったのが最近大枚を叩いて(?)コンポーネントとホイールを交換したバイクが無事だったことである。イヤハヤ嬉しいのか悲しいのか・・・

    仕事は相変わらず出張が多く重い荷物が病状を一進一退にしている。出張荷物は重くても機動性を考えて大きいショルダー・バッグで対応していたのだが怪我以降はキャリア付きの迷惑(?)な鞄で出かけている。あの長く引き手を伸ばしている厄介なやつである。混雑する駅の構内通路で足元をとられそうになり何度も危険な目にあっているあれである。そして今は加害者の側に立っている私だ(笑)。

    この怪我の対処、どうやら内在する自然な治癒力と時間の経過だけが一番の治癒法らしい。つまり安静第一ということ。そういうことで休日は殆ど外出もせず過ごしている。日頃撮り溜めたビデオを観る。読まずに積まれた本を読む。まともに聴くことがなかった買い溜めのCDを聴く。長風呂に浸かる、等々。そして時たま咳をしてウッと痛がる(笑)。

    ジャズ盤の話。

    過日リンクをさせて頂いている
    ブログでドン・トンプソンがピアノで参加しているデュオのコ・リーダー盤を知った。(ドン・トンプソンについては昔『Countory Place』と云う盤紹介でアップした記憶がある。) もちろん言うまでなく早速アマゾンで発注をした。しかし同時期購入した国内の盤はとっくに着いているのだが何故かこの盤だけ到着が遅い。多分海外からの輸送であるため時間がかかっているのだ。待つ気持ちが強い分だけ時間が長く感じるのは人の常。その時間に比例し徒に膨らんでゆく期待値は否が応でも作品のハードルを上げる。そして往々にして落胆の結果を生むこととなる。しかし昨日到着した件の Neil Swainson &Don Thompson 『Tranquility』は別物であった。

    開封ももどかしく早速聴いてみる。#2 "Smoke Gets In Your Eyes" ジェローム・カーンのスタンダーズが流麗でいて朴訥に響く。ニール・スワインソンのベースも訥々と好い。昔から思っていたのだがドン・トンプソンと共演するベーシスト、或はピアニスト、ヴァイブニストってどういう気持ちなんだろう? ドン・トンプソンが各楽器の恐ろしい使い手であるのだから演りにくいのだろうなぁとか要らぬ心配をしたりする。まあそんな瑣末なことはさて置き、この盤は実に好い。#4 "Tranquil" の美しくも重厚な安寧感はこの標題を体現している。そう言えば大昔、本田竹広が"National Tranquilty"という深い寛ぎの名曲を演奏していた。Tranquil:寛ぎをテーマにした曲に悪いものはないのだ きっと。そして#6 "Time Remembered"。云わずと知れた耽美的名曲。前振りが長くテーマを朧にした感があるが紛れもなくエヴァンスの意匠が込められている。待ちに待った名演だ、素晴らしい! #8"Everybody's Song But My Own" 終曲 #9"Never Let Me Go"と続きアルバムの完成度をさらに補完する。

    ドン・トンプソンが念願のピアノに徹したのである。何事も諦めてはいけないという教訓でもある。

           
    Jan22_01.jpg
             Neil Swainson & Don Thompson
                    『Tranquility』
        (2012年Tronto録音 Cornerstone Records CRST CD141) 

    22:58 | トラックバック(0) | コメント(2) | Duo | Page Top


    ■2015/01/12(月) チャーリー・ヘイデン・フォーエヴァー!

    チャーリー・ヘイデンが亡くなってからどのくらいの時間が経ったろう。彼が亡くなって以来感じている違和感、喩えるなら喉の奥のどこかに小さな骨が刺さっているような感じ?。決して彼の熱心な鑑賞者ではないが新作品が永遠に聴けなくなってしまうのだと考えるとやはり寂しい。チャーリー・ヘイデンの終始一貫して変わらぬスクエア(?)な外見は直感的に音楽への真摯な姿勢を連想させる。事実彼の音楽は実直でブレがないと思う。一部の方からは変わったベーシストとの評判を聞くこともあるが然もありなん。レイ・ブラウンとは明らかに違う。判然と断っておくがR ブラウンに真摯さがないと云う意味では決してない。

    チャーリー・ヘイデンを最初に聴いたのはいつの事であったろう。キース・ジャレットの盤であったか或いは自身のリーダー盤であったか、はたまたドン・チェリー等とのフリー寄りの盤であったか・・・実に朧だ。ともかく手当たり次第ジャズを聴き始めた頃リアルタイムに聴く多くの盤に彼が参加していたのは事実だ。そしてどの演奏もチャーリー・ヘイデンであって他の誰でもなかった。それは嘗てポルシェのキャッチコピーにあった"ポルシェかポルシェ以外の車か"(かな?)と言うほど自信に満ちたものであった。つまりどの参加盤にも彼の痕跡(?)を見出すことができた。その痕跡は或る質量を有するチャーリー・ヘイデン特有の感触。その感触について上手く説明できる言葉があるなら先述の真摯さに加え独創性そして存在感と言う言葉が相応しい。

    特に私がデュオ演奏好きだからだろうか、デュオに固執するベーシストを割合に多く見受ける。その中でも彼は頭抜けている存在だ。チャーリー・ヘイデンのデュオ・フォーマットへの拘りは徹底しており数多のデュオ作品がそれを証している。またそれだけではなく様々な異ジャンルへの参加もあり常に現状に留まらることを潔しとしなかったようだ。嘗てジェームス•コットンの盤に参加しているのを知り驚いたことがあるがメインストリームからフリー、そして異ジャンルにまでその巾広さも驚異的である。

    デュオは演奏を介した"語らい"であるなどと教科書的なことを書きたくはないが或る意味真実である。時に調和的であり時に闘争的でもあり"語らい"の範疇を超えるスリルが妙味を添える。

    私たちはふと誰かと深く精神の交流を欲求するときがある。それは全く精神的な要求で一時の肉体的なそれではない。しかしその媒体が乏しいといつでも皮相的だ。それ故楽器という媒体を深く奏でられる者を羨望すること頻りなのだ。嘗て見た映画、三国志の赤壁の戦いを映画化した『レッド・クリフ』における周瑜と諸葛孔明が琴(?)を奏で合うシーンがある。演出も過ぎて陳腐ではあったが意図は理解できた。象徴的なシーンであるからこそ淡白な表現が効いただろうにと思う。

    さてクドい前置きになった。チャーリー・ヘイデンのデュオ作品、なかでも特別感動した盤を数枚紹介したい。既出の盤もあるが敢えてアップしたい。このゴツッとした重厚な感動はいつまでも変わることはない。人は死して音楽を遺す。チャーリー・ヘイデン・ フォーエヴァー!

       Jan12_01.jpg   Jan12_02.jpg   Jan12_03.jpg 
       1976年録音               1978年録音                1989年録音

      
    Jan12_04.jpg  Jan12_05.jpg  Jan12_06.jpg 
       2003年録音              2006年録音                2007年録音      

    23:28 | トラックバック(0) | コメント(0) | Bass | Page Top


    ■2015/01/07(水) フランスのスタンダーズ盤 その他

    去年から今年の話となる。暮れの30日から始め玄関を占拠している書籍の山の整理を新年の2日まで4日間かけて行った。内1日は徹夜をするほどだった。ついては面白い本に寄り道をしてしまったのも作業を長びかせた原因であった。。結果、約1000冊ほどを選別し某ブックオフへ売却。如何に本を無駄に放置してきたのか痛いほど感じた。今にして思えばビフォア/アフターの写真を撮っておけば良かったのだ。早速そこにロードバイクを置いてみると今までになく好い感じになった。玄関に入ると崩れおちんばかりの書籍の山だったのだから比較対象が悪過ぎる。次回はバイクを壁にディスプレイするか天井から吊るすのも好いかも知れない。とりあえずこの感じをキープして行きたいものだ。家人曰く "やればできるじゃないの" 蓋し名言である。

                           
    __ (25) 
                         我が家の玄関風景:アフター

    毎回毎回中途半端に古い録音盤の話で恐縮だがフランス産のジャズである。フランスのジャズと一括りで言うのも乱暴だが仏ジャズがあるとついつい手が伸びてしまう悪い癖がある。そしてどの国のジャズでもほぼ確率的に同率なのだがおおよそ落胆することが多い。しかし懲りずに手を出す。砂漠に砂金ほどのレア度ではないが探さない限りは好い盤に巡り会えないからだ。そのスタンスはこれからも普遍だろう。楽な方法として誰かのレコメンドに乗っかってしまうと言う方法もある。けれどそればかりしていると漁盤の快感の半分(?)を捨てたことにもなるし自らの感受性も誰のものか怪しくなってくる。"自分の感受性くらい・・・"とか言う女流詩人の優れた作品があったっけ。自らの感覚を頼りに切り拓く快感である。誰が何を言ったって気にするところではない、自らの感覚を持って判断すれば好いのだ。

    ついついジャズ盤に手を出す理由にはもう一つある。私は舶来ものに弱いのである。恥ずかしい話であるが私は今だ西洋に根強いコンプレックスを抱いている。特にフランス、イタリア、ドイツ、イギリス等 歴史ある欧州の諸国、それに北欧を加え、狩猟とチーズとワイン(?)石の文化、キリスト教の深き信仰等々に言われない憧憬と裏返しのコンプレックスを抱いている。米国一本であったジャズ鑑賞にいつしか欧州の或る種のフレイバー(クラシック的要素?いやそれだけではない気もするが)を有するジャズが取って代わるようになり米国ジャズにはないそのフレーバーに陶然となってしまった訳である。しかし被れてはいるが数をこなして行くうちに欧州のジャズとて米国のジャズとて優れて心に響いてくるものはホンの一括りであることを悟った。欧州らしさという漠然とした雰囲気だけでよしとするほどいつまでもおめでたくないのは私だけではなかった。現在の余剰する欧州ピアノ・トリオ市場を見渡せばそれは明らかだ。二束三文の盤が犇いている。嘗ては圧倒的に素晴らしい希少廃盤と騒がれ※万円でトレードされた盤もごく廉価で目にする。それが現実だ。但し玉石混交だと私は思っている。

    さて話が飛んでしまった。フランス産のジャズ盤である。珍しくスタンダーズを演っている。特にフランス産ではスタンダーズをやる管入り盤を余り知らないのでこれは珍しいと思っている。1989年録音と言うから四半世紀も昔となる。Andre Jaumeなるサックス吹きの盤でバックはピアニスト:Jean-Sebastien Simonoviez 率いるトリオのシンプルな構成で両者とも初聞な演奏家である。A.Jaumeを検索すると結構な枚数が吹き込まれている。入手可能盤はどれも高額なプライスが着けられているので、その筋では高名なのだろう。知らぬは私だけと言うことか。吹くのはテナーとソプラノ、それにバスクラ。初っ端は何と驚きの#1 "Autumn In NewYork"である。私の常識では欧州ジャズでこの曲を採り上げるのはレアであるという凡そ根拠のない先入観を持っている。幾分フィル・ウッズ的な磊落な吹き方であるのも意外だ。結構イケる。好きな演奏だ。#2"Alone Together"も驚く。これも同様欧州ジャズではレアではないかと言う偏見を持っている。これはソプラノで吹く。どこかコルトレーンに似ている。#3"Nigh And Day"ではないか。これも違和感あり。つまり欧州らしさがない。#4"Day Dream"ストレホーン/エリントンの曲だがどこか理屈っぽく面白くない。そして意外なことだが次曲に伏兵がいた。#5"Beatrice"何とこんなところにサム・リバースの作品が来ようとは。哀愁のバスクラが醸す堪らない遣る瀬無さよ。ベストトラックか? そして#6"My Funny Valentine"である。ここまでくるとスタンダーズとタイトルした意味が分かるがこの演奏は理屈っぽいのでダメ。#7"I'm Old Fashioned"も今ひとつ。とうとう我慢できず自曲を演奏した#8"Escapade"ではM.タイナーが出てきそうな堰を切ったようなモーダルな演奏に突入。本当はこう言うのが演りたかったのだと言わんばかり。でとうとう『スタンダーズ』と名打ったくせにロリンズばり#9"Andre"(B.Collete)のムンムンした演奏に突入してしまう。そして最終曲にはJ.V.Heusenの名曲#10"Nancy"の登場で口直しと言う算段である。流石に湿度ある素晴らしい演奏である。#5 #10の2曲で決まり。

           
    Feb04#01
                 Andre Jaume Quartet
                   『Standards』
             (1989年フランス録音 CELP C12) 


    19:35 | トラックバック(0) | コメント(0) | Favorite Rare CD | Page Top


    ■2015/01/01(木) 謹賀新年


    新年明けましておめでとうございます。

    今年も好きジャズ盤に巡り会えますよう祈念申し上げます。


    21:51 | トラックバック(0) | コメント(0) | 音楽以外/その他の分類 | Page Top


    ■2014/12/30(火) Lina Nyberg の熟成はいつなされたのか?

    またも またも またも(もうひとつ?)更新を怠ってしまいスポンサーの宣伝がトップに出るようになってしまった。この原因は偏に私のジャズに対する熱意の低下に外ならない。前から云っているようにジャズが然して面白くないのだ。これは面白く感じない私の問題だと思っている。しかしジャズの側に問題はないのだろうか?と幾許かは考えないこともない。何れにせよだからどうということではない。けれど私的には追求のしがいがある事象である。しかしここでは追求しない、続きはまた後日、別の場所で。

    近頃アイフォンの英単語学習アプリ(?)に嵌っている。ゲーム的な要素が多くて子供じみているが昔覚えた英単語を思い出すツールとしてはお手軽だ。受験の頃を思い出しながら忘却曲線に逆らってトライしている。少しづつだがレベルが上がると不思議なもので嬉しくなってくる。どうやら人には何らかの達成感が必要なのだろう。現在レベルA+に到達して喜んでいたがAの上にSがあるらしい、もうひと踏ん張り頑張らなくては・・・。その内にお気入りのジャズ・スタンダーズを情感込めて唄えるようになるかも知れないな。(笑)

    2、3週間ほど前になるだろうか、これがシーズン最後になるだろうとの覚悟で峠越えのサイクリングに行った。日蔭の路面の凍結が怖かったが駄目なら引き返そうと思いながら走って行ったが結局は峠を制覇してしまった。峠の小屋には2名のライダーが座って休んでいる。身体はガチガチに凍えていて上手く喋れない程だったが仲間に加わる。1名は私より高齢のデ・ローザ・ライダー、もう1名は30~40代のトレック・ライダー、それぞれ単独で来られたようだ、後に20代と思しき若いスペシャ・ライダーが加わった。これが今シーズン最後ですねと寂しそうに話していると曇った空から白いものがちらほらと落ちてくる。雪である。休むと益々身体が冷えてくる。話していたかったが直ぐさま降り始める。恐る恐る降る途中、雪は益々降ってくる。しかし民家の見える辺りまで降りて来ると不思議に跡形もなく雪は止んでおり山の天候の不思議を感じた。ガチガチに凍えた身体を温めるためにいつも立ち寄るうどん屋で暖を取った。地獄に仏とはこのことか! 嬉しい。

                       
    __ (7)    
                        ◎ 地獄に仏のうどん屋さん風景

    さて、今回はジャズ・ヴォーの話題で行きたい。

    Lina Nyberg 『Smile』 を聴いたのは数カ月前のどこぞの出張帰りのどこぞのDU。久しぶりの漁盤、たまたま試聴しその素晴らしさに驚いたのである。再三云っているがジャズ・ヴォーは・・・いやジャズはと云っても好いが・・・上手さでは決してない。味わいである。得も言えぬ滋味である。得も言えぬという喩がその奥深さを自ずと語っている。ビヨンド・ディスクリプションなのだ。

    かのLina Nyberg という名前であるが何処かで聞いたことがあるような ないような・・・恥ずかしい話、記憶にない。で早速件の盤を購入し自宅で紐解く。幾分おどろおどろしいジャケである。単純な白人ではないなと思う。グーグルで検索すると何と数枚所持している。いや所持していた。所持しているのは『Time』(2003年録音)。所持していたのは『Close』(1993年 デビュー盤)。後者は売却した記憶がある。しかもこの『Smile』(2000年録音)以降 『Time』を含め11枚ものアルバムを吹き込んでいる。『Smile』(2000年録音)以前は『Close』を含め6枚もある。都合総数で16枚もの盤を吹き込むベテランであるのだった。いやはや私はジャズ・ヴォー・ファンなどと自称出来ないな。しかしその一因はこのジャケ写(?)である。これでは同一人物か否か判別ができないだろう。他のジャケ写と別物だと言い訳したい。でも試聴したのだからねえ。。

    記憶が朧だがデビュー盤とされる1993年録音の『Close』はかのESTで高名なEsbjorn Svensson とのデュオであったが内容がイマイチ。ヴォーカルが硬質過ぎた記憶がある。それ故迷った末に手離したのだった。そして7年経て『Smile』での熟成となった・・・といえば話が簡単であるが上述通り16枚ものアルバムがある訳で、少なくとも『Close』~『Smile』の間に4枚もある。一体この熟成はいつ為されたのだろうか?・・・来年に持ち越す課題としよう。・・・いやはや持ち越しばかりだ。。

          
    Dec30#04
                Nina Nyberg 『Smile』
          (2000年録音 Prophone Records PCD055)

    余すところ今年も今日明日を残すのみとなった。
    では好いお年を・・・



    13:29 | トラックバック(0) | コメント(0) | Vocal | Page Top


    ■2014/11/14(金) 深夜に聴いたピアノ・トリオ盤のこと

    ふと気付くとブログ更新もままならず又しても訳のわからないPRが出るようになっている。

    今日会社の同僚の一人が退社した。若い女性社員の部下と色々あり(所謂セクハラ?)降格人事となり社内規定により雇用継続ができずに60歳で辞めた。別れしなに社員食堂の食券をくれると云って渡された。私はカロリー過多な社員食堂は使わないけれど貰っておいた。寂しい退社である。人生は何処に何があるか判ったものじゃない。のっけから瑣末であるが重い話題、でも現実だ。

    今日はそう言う訳で少し寂しい。


    過日三日ほど徹夜に近いことをしてCD盤を選別して1000枚強の盤をDUに売った。好条件で買い取ると云うことなので普段聴かない盤を選んだ。その過程でついつい聴き込んでしまう盤が何枚かあった。その一枚がWong Wing Tsan Jazz Trio 『We In Music』であった。イヤハヤこれは凄いや!と思わず聴き惚れてしまった。

    この盤をいつ入手したのかも全く記憶にないが初期の渡り鳥(?)のイラスト・ジャケ盤が好かった記憶があるのでその前後であろう。しかし何と沁みる演奏だろうか・・・#4 "It's Never Too Late To Meet Again"などまさに泣きながら演奏しているのではと思われる。 

    欧州での活躍が多い森 泰人(確かこう書く?)の屈強で重厚なベース、市原 やすし(漢字不明?)の繊細で正確なドラミング、ウォン・ウィン・ツァン(読みいい加減?)の清冽な飛沫飛ぶピアノ・ソロ・・・どの言葉でも及ぶことのない三者による作品が静かに構築されてゆくのを唖然と眺めるだけだ。いつでも大きな感動は勝手にやってきては勝手に消えて行きその後ろ姿さえ記憶に残せない。それ故己がストーリーに乗せて味わう術しかないのだ。けれどそれも語ることはできない。

                      Nov14#01
                   
    Wong Wing Tsan Jazz Trio『We In Music』
                   (1999年録音 Satowa Music STW-7010)



    22:09 | トラックバック(0) | コメント(0) | Piano | Page Top


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