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    ■2009/11/15(日) 秋の閑居便り

    秋の好い日であったが珍しくどこも出かけることなく日がな一日、ジャズを聴き、本を読んだ。昼過ぎにメール便でヴェント・アズールからCDが届く。過日頼んでおいたCarlo Uboldi というピアニストの『Ely's Dream』という盤で、個人名義ではなくPizzatrioというグループ名で発売されている赤唐辛子3本を掴んだ手のジャケ写がポップで印象的な盤である。

    実はこの盤、過日、地下鉄神保町駅から直ぐの老舗の喫茶店の先に数年前出来たジャズ喫茶を訪ねた際、何か最近好い盤は無いかと無礼にもマスターに尋ねると、これ等どうですかと親切にも教えてくれた盤である。Carlo Uboldi では渡り鳥の盤(『Free Flight』)は所持していたが、これは初見。なかなか好いジャケであったので直ぐにその足で、お茶の水DUに行って探す。しかしどこの店舗にも在庫は無く、益々所有欲が掻き立てられ、終にはヴェント・アズールの在庫に辿り着いたという訳である。

    さて、この盤であるが、実に落ち着いた盤で、私の大好きなドラムレス・トリオの要件をきっちり備えている。 ピアノ:Carlo Uboldi 、トランペット&フリューゲル:Luca Calabrese 、ベース:Antonio Cervellino 。 そんな手練に"The Nearness Of You" などセンシティブな曲をじっくりとスローなテンポで演られてはひと堪りもない。いやはや極上な好い盤をお教え頂いた。マスターのセンスが窺えるというものである。そう言えば、訪ねた時にSoren Moller 『Playlist』が演奏されていたが、実はもう一枚あるリーダー盤のゆったりした演奏が好いと仰っていたが、まさに同感である。しかし、もう一枚聴かせて頂いた、管入りの盤(コルトレーン・トリビュート盤?)は、私にはコルトレーンの演奏が骨身に沁みている(?)ので申し訳ないが頂けませんでした。また、好い盤を紹介してもらおう。

              Nov15#08
              Pizzatrio 『Ely's Dream』
            (2007 Music Center BA239 CD)

    そういう訳で今日は小人、閑居して不善をなす。さっぱりした秋の気候に似合う、切れの良い演奏をスピーカーの限界を試すくらいの音量で聴いた。久々の Kaltencker Trio と Prysm 、古い盤であるが、いつ聴いても極めている。Pizzatrioとは対極的な音楽ではあるが…

         Nov15#01             Sep21#01
     Kaltenecker Trio 『Winter's Tale』         Prysm 『Prysm』
     (2007 R&V Records RV002 )      (1995 Blue Note 4955882 3)


    23:53 | トラックバック(0) | コメント(0) | Drumless Trio | Page Top


    ■2009/11/08(日) 欧州の暗さについて

    今、乾正雄著『夜は暗くてはいけないか』という本を読んでいる。朝日選書という入門書のシリーズであるが、この"暗さの文化論" 的な本はそれほど出回っていないので希少だ。冒頭私の好きな絵画 ピーター・ブリュゲール『雪中の狩人たち』を題材に欧州の暗さを論じていて思わず引き込まれた。また、ここでも近代日本唯一の暗さを論じた『陰翳礼賛』に当然言及してくる。しかし面白いのは本筋の話ではなく突飛に興味深いエピソードである。あれだけ陰翳を礼賛していた谷崎であったが実生活では徹底的にモダンな西洋風。横浜外人街の畳の部屋一つもない家で西洋料理のコックをおいて、靴のまま生活をしていたそうである。このエピソードは実によくわかる。実生活と理想の背理、陰翳の中で生活する者に理想とする陰翳は語れないのではないかと思うのである。

    突飛な話、もし谷崎が少し時代をずらして存在していたなら、きっと間違いなくジャズを聴いていたのではないかと想像する。谷崎とジャズ…悪くない取り合わせだ。

    ところで現代の暗さは、西洋>米国>日本の順で、日本が一番明るく陰翳礼賛どころではないそうである(笑)

    さて、これも廉価盤の餌箱に捨て置かれる口ではないだろうか。それほど名のあるミュージシャンの参加もなければ話題性もないジャズ盤である。しかし、一聴すれば如何に優れた盤なのか直ぐに感受できる。ベーシスト Tom Knificが Fred HerschやAndy La Verne、Roland Hanna、Gene Bertoncini等と極上の演奏を紡ぐまさに隠れ名盤。特にGene Bertonciniのギターとのデュオで伴奏するSunny Wilkinsonの”Estate”は、この曲の5指には入るであろう名演名唱と確信している。甘露甘露、まさにこれは生涯盤。空想の"谷崎ジャズ・コレクション"の一隅に鎮座する逸品である。因みにこの盤は米産であり、谷崎のモダンな生活に似合うと考える。  

               Dec18$03.jpg
              
       Tom Knific 『Siena』
           (2004 Sea Breeze Records SB-3069)

    * 編集のため過去の書き込みに手を入れました。


    13:21 | トラックバック(0) | コメント(2) | Bass | Page Top


    ■2009/11/08(日) 鳥は今どこを飛ぶのか?

    ジャズの楽しみは何かと問われれば、グルーヴィな演奏にテクニックの粋を極めたセンス溢れるアドリブのリアルな堪能であると言っても大きく違わないだろう。ジャズの醍醐味は一回性のアドリブの妙である。勿論、偶には小さなお店でグラス片手に手垢のついたカクテル・ピアノだって悪くはないし、キュートな女性ヴォーカルにお酒以上に酔うのも悪くはない。しかし、ここまで再生文化(?)の進んだ現在において、生演奏の享受だけがジャズの醍醐味で無いのは長いジャズの再生文化の存在(ジャズ喫茶・レコード・CD等々)が明確に物語っている。ライブの副次的要素としてレコード(CD)があると思っている人もいるだろうが、私の様にそれは全く別だと思う者だっている。できれば沢山の優れた演奏を聴きたいものだと思うが、それは物理的に無理であるなら再生文化としてレコード(CD)の享受を肯定したいのである。

    何を言っているのか判らなくなった。

    つまりはこういう名も知れぬ(…知らぬは私ばかりかも知れないが…)名盤があり、気付かぬうちに通り過ぎていた悔恨がわんさと存在する事実である。(…意味不明) 1996年吹き込み、既に10年以上も時間を無駄に浪費している訳である。

    このCDは過日、よく行く中古ショップで何気なく手にした一枚である。ジャケの様子もよく、ジャズでは名の通ったスイスのレーベルであるが不勉強ゆえ演奏者についての情報を全く持ち合わせていなかった。しかし一聴、この素晴らしい演奏に完全にKOされた。そして今では自信を持って推薦できる私的な名盤となっている。

    ベーシストPavel Pesta のリーダー作品でスイスPlainis phare レーベルから1996年の吹き込み。 " Re-Bop Quintet "と名のるくらいなのでビ・バップに新たな息吹を吹き込むコンセプトなのだろう。産地がアメリカでないところに何か物語るものがある。確かに切れのいいペットとテナーのフロント2管が小気味好く、加えてPatrick Mullerの宝石のように光るセンシティブなピアノ演奏にあっけなく脱帽してしまう、他にリーダー作があるなら期待できるピアニストである。ジャズかくあるべしと固い確信を持つことができる稀有な盤である。

    ジャケットに写る渡り鳥が哀愁感を誘う。鳥は今どこを飛んでいるのだろう?

              Sep19#01
                 
    Pavel Pesta Re-Bop Quintet
                 『Some Places』(1996)

     * 編集のため過去の書き込みに手を入れました。


    10:37 | トラックバック(0) | コメント(0) | Brass | Page Top


    ■2009/11/08(日)  マヌサルディ〜ガルゾーン 

    休日の今日は割り方好い天候であったが、どこにも出かけず不健康にもパソコンに向かっている。おかげ様で眼精疲労とファストフードの摂取で首から肩にかけて嫌な疲労とそれらが原因と思われる若干の吐き気がある。何を好んでパソコンに向かっているのだろうか、自問する日々である。が、多分この圧倒的情報源であるパソコンを無視することは最早できない。仕事、趣味、生活の諸々の手続き等々、よくもここまで浸食してくれたものだ。かくジャズの情報にしてもウェブ・サイトの利用が無いものとしたら全く現在の享受はあり得ないことであろう。

    そういう訳で今日は久しぶりにブログ記事の整理を行った。分類等がなっていなかったので少し手を加えて見た。また、いくつか分類が不能となる記事があったので分割してみた。以下の記事と続く2〜3の記事は以前アップしたものだが、装いを新たに掲載する。木に竹を継ぐような唐突な感も否めないが容赦されたい。

    さて今回の盤はGuido Manusarudi率いるピアノ・トリオにGeorge Garzoneのサックス(テナー&ソプラノ)が加わる優れ盤である。Manusarudi や Garzoneの吹き込みは様々なところで遭遇し、何回か落胆を食っているが、これは相当出来のいい部類に入ると思われる。特にManusardi は昔は人気のあるピアニストという印象であったが、最近の凋落はどうしたものだろう、中古盤は大幅値引きに関らず売れ残っているのをよく目にする。また、Garzoneもミュージシャン'ズミュージシャンなどと鳴りもの入りで紹介された当初は騒がれたが最近は静かになったものである。そういう不遇な盤であるが百聞は一見にしかず、いや、百見は一聴にしかず、ここでのGarzoneのサックスの素晴らしさはどうだろう。たとえば#2 『Engadina Valley』でのソプラノの艶やかな伸びは唖然と聴き入るだけであるし、#4 Manusarudiのペンによる『Anytime, Anywhere』のテナーの重厚にして優雅なブロウは、以前書き込んだ『サックスは古いものが好い』とする主張を覆すに十分な説得力がある。流石の先生である。

             Sep17#02 
         
    G.Manusardi G.Garzone J.Lockwood B.Gullotti
            『Colored Passages』(1993)

    * 編集のため過去の書き込みに手を入れました。


    10:36 | トラックバック(0) | コメント(0) | Bass | Page Top


    ■2009/11/03(火) 犬の腰痛

    犬を飼っている。アメリカンビーグル13インチという犬種である。子供がまだ小学生だった頃どうしても犬が欲しいとせがまれて飼ったものだ。子供とペット・ショップへ子犬を見に行くと店主が開くゲージから私の胸元へ飛び込んできたのがこのビーグル犬であった。子供が欲しかったのはキャバリア・キングチャールズ・スパニエルであったが、親父の我儘をとうしてこの犬に決めた。私の胸に駆け込んできた時点でこの犬と決めていたのだ。どちらが欲しがった犬なのか判らない(笑)

    過日、秋晴れの心地好い休日の午後、久しぶりに犬と散歩に出かけた。田舎住まいの裏手には小さな川が流れ土手沿いに桜並木の広場が続いている。・・・子供が小さかったころは車に犬も乗せて国立公園の緑の中を走り回ったなぁと回想する。そんな子供も一緒に出かける年齢も疾うに過ぎ、子犬だった犬は既に成犬を過ぎ老犬の域に入っている。ふと、昔のように草原を走りたくなった。首輪からリードを外すと犬は走りだした。私の脇をすり抜ける愛犬の横顔が嬉しそうであった。まだともに老いてはいない。

    翌日、会社から帰宅すると、犬の様子がおかしいと家人が言う。犬を見るとどうやら腰が悪い様だ。数年前も同様に腰を患ったことがあり、ステロイドの注射を打ったことがあった。"どうしたのでしょう"と家人が言う。自責の念に駆られすぐに動物病院へ連れて行く。愛犬は既に人年齢で言うと私の年齢を超えているのだ。歩くのが辛そうで心が痛んだ。

    さて、今回の紹介盤。Chris Cheek(ts)とEthan Iverson ピアノ・トリオが2000年バルセロナのジャズ・クラブ "Jamboree"で録音した盤である。表題曲『Lazy Afternoon』と言えばPeggy Kingのまさにレイジーな歌唱が魅惑的な曲であるが、ジャズに求めるのがグルーブ感ではなく、郷愁感である時にうってつけの一枚である。ジャズにテンションばかりを求めては時として疲れるのである。

             Oct30#03
                『Lazy Afternoon』 
               Live At The Jamboree
        Chris Cheek  Ethan Iverson  Ben Street  Jorge Rossy
               (2000 FSNT126CD)


    21:29 | トラックバック(0) | コメント(2) | Brass | Page Top


    ■2009/10/25(日) 海辺の街にて

    今日は海辺の街に所用があり車で出かけた。通り過ぎる山々は確実に秋の気配で赤や黄の衣を纏っている。薄手の上着では肌寒く季節の変化の素早さに驚く。昼食は海産市場で美味しい魚を食べ、帰りの高速PAでは展示していた剣山の要らない小さな水盤を見つけ思わず購入してしまった。なかなか充実した休日であった。

                013.jpg

    自宅に戻り家の周りの草花を即席我流で活けてみた。 専門家が見たら噴飯物だろうがなかなか気に入っている。  

                 P1020222.jpg

    さて、長いインターバルがあったが、件の活けた草花は水しか与えていないのに一週間以上経った現在でも意気軒昂。というより左右上部にある蔦の若葉は大きく成長し、逆に下部の大きな葉は侘びてきた感じである。自然の摂理に感動すら覚える。嬉しくなって又しても記念撮影である。まさに身近な幽玄-侘び-寂びの世界である。         

    今回は聴くたびに感動の度合いを増す稀有な盤を紹介したい。実のところ余り紹介はしたくない私的な盤である。それは、例えば美味しいだけではない何か形容できない魅力がある食べもの屋をそっとしておきたい気持ちに似ている。

    ピアノとベースのデュオ盤はピアノ・トリオ以上に惹かれるフォーマットで、事あるごとに蒐集しているが、これという逸盤が少ないのはピアノ・トリオ盤以上である。それは絶対量の差でもあるが、対面して創りあげるのは極めて精神的にも肉体的にも辛いのかも知れない。これは以前どこかで書いたので割愛する。

    さてそう言う訳で、今回は蔵出し的なピアノとベースのデュオ盤である。ピアノはポーランドの逸材Leszek Mozdzer 、それに至高のベーシスト David Friesen の組み合わせである。David Friesen は何枚かデュオ盤で優れた作品を残しているが、片やのLeszek Mozdzer は最近の盤(電線のイラスト盤等)で何度か痛い思いをしているので警戒する。が、♯1 "In Times Past" の出だしの数音を聴き "一殺"であった。何という美しさ、今の季節で言えば古木の黒い木肌に這う紅葉した蔦類の対比的な美しさとでも表現されようか。古木は言うまでもなくフリーゼンである。但し、ジャケがいけない。これでは以前紹介したプログレ盤もどきのピアノ・トリオ盤と何ら変わらない。勇気あるジャズ・マニアだけを峻別するつもりか(笑)

                 Nov01#01
              
    David Friesen&Leszek Mozdzer
                 『Facing The Winds』
            (1996 Power Bros Records PB00143)


    22:11 | トラックバック(0) | コメント(4) | Piano | Page Top


    ■2009/10/18(日) ジャズはスタンダーズだっ!

      今回は最初から答えありきの話題である。

    世の大半のことはそういう風に最初から答えが出そろっていて後から理屈をつけているのではないかと睨んでいる。例えば、最近の会社でのやり取りである。私の上司の専務から・・・・について『検討』して欲しいとの命を受けた。調査すると・・・・する『必要性がない』と思われたので・・・・する必要性はないと思われる旨を何度かやり取りする。最後は『いや、・・・・するんだ』と言い張る、どうやら上司の上司(社長)の命らしい。であれば最初から現状分析など要らないだろうに、実に厄介なことである。

    そこで今回はジャズのスタンダーズについてであるが、最初から答えは出ている。『ジャズはスタンダーズだっ』と言うことである。現状分析など要らない、やらない、嫌いだから。

    さて、スタンダーズの定義という堅苦しいことから言えば、どこかの誰かが或はジャズスタンダーズ認定協会(?)というような組織が揉んでこれをスタンダーズに認ずるということではあるまい、多分。また、定期的にスタンダーズ選定投票みたいなことが行われていて殿堂入りセレモニーなんていうことが執り行われていることもあるまい、多分。長い時間の淘汰を経て、いやこれは好い曲であるのでまた演奏してみよう、或は、また聴いてみたいなどという経緯で大方の支持を得た名誉ある曲なのであろう。そういう極めて曖昧なスタンダーズ(基準)に基づき、いや、これは知らない、スタンダーズではないと言えばその人にとってはスタンダーズではない訳である。実にパーソナルな側面も併せ持つのである。

    そういうことで何度聴いてもこれは好いぞ というのが私にとってのスタンダーズである。勿論、世に言うスタンダーズが私のスタンダーズであるとは限らないし、また順当に重なり合う曲も多々あるのである。私のスタンダーズは今のところアイ・ポッドの5つ星収録曲となる所以である。

    オリジナルをして意欲的にアルバムを創るミュージシャンを評価すべきだとする改革的ジャズ推進派(?)の論法はある意味共感するところではあるが、片や、いやいや、スタンダーズをしてどのように料理するかで力量は推し量れるのだから、それに応じて評価すべきだっという考えもあり、それも一理あるなぁとも思う。私的にはその振幅はそれほどの問題ではない、というのが今回の結論である。聴く側にとってはこれぞの演奏をピックアップして聴くことが何よりの証左。つまりは感動の標準化作業はいつだって行われているのである。

    さて最初から答えありきと言いつつもグダグダと書き連ねたのは、間に何度かインターバルが入った為である。支離滅裂な話になった。つまらない話ばかりでは本当につまらないので今回の紹介盤である。

    Arturo Serra は好きなヴァイブ奏者の一人である。一人と言ってもヴァイブ奏者の絶対数はそれほど多くはないので希少な一人なのである。これは1992年、Arturo Serra若干25歳の音源で、アルバート・ボバーにペリコ・サンビートという優れミュージシャンを従えた極めて質の高いアルバムである。近年のヴァイブ奏者は異口同音にバークリー派(?)のゲーリー・バートンの影響を挙げるが彼も例外ではない。しかし、スパニッシュの血(?)がそうさせるのであろうか師の陥る一種教条主義の束縛から解放されていて晴れやかである。この盤も2曲を除き他はオリジナルで、どれも水準以上に素晴らしい。これは最高だと思うのは表題曲"Confidencial"と揺るぎないスタンダーズ "Laura"が傑出している。翌年Helargi Records から Getxo Jazz Festival 1993のライブ盤が出ているがこれも好い。

          Oct18#01  
     
     Arturo Serra Sextet『Confidencial』
        (1992 EGT609CD)

     


    10:54 | トラックバック(0) | コメント(0) | Vibe | Page Top


    ■2009/10/12(月) 好きな街のこと

    好きな街がある。清流に掛かる鉄製の橋から見る夕日が美しく、嘗てこの川の名前を題名にした恋唄をキュートなポップ歌手が歌った。余り聴かないジャンルであるが、この歌だけはストーリー性があり何故か忘れられない魅力的な歌である。その恋唄ゆえばかりではないが、忘れた頃ふと思い出し、無性に訪ねたくなる古くて美しい街である。

    この街の魅力は、風景の美しさの外にもう一つある。"廃盤ジャズCD倶楽部"を標榜する私である、中古CD(RD)絡みであるのは言うまでもない。その"V****** Records"というお店は、街の顔でもある歴史的建造物の入口近くにあり、なかなかお洒落な造りである。DUなどのゴミゴミしたお店(謝)とは天と地の違い、加えて店主もなかなかジャズに詳しく、オーディオもいい音で鳴っている。品揃えはDUに比較するべくもないが、忘れていた古い国内盤CDなど偶に出たりするので目が離せない。そう言う訳で今日は長いインターバルがあったがお気に入りの街を訪ねた。残念ながらジャズCDの収穫はなく、仕方なく隣の街まで足を伸ばし、青竹打ち麺で有名なラーメンを食して帰ったのである。

    そうそう、忘れてはいけないことがもう一つ。大昔、この街の八百屋の2階にあるジャズのライブ・ハウスで、スティーブ・キューン・トリオの演奏を聴いたことがあった。私にとっては最高のアイドルをかぶりつきで見て、握手とサインと話までして、すっかりミーハー気分を満喫させてもらった。東京の大きな会場では考えられないことである。当時の面子はレザボア時代のデヴィッド・フィンク等で大好きな"The Zoo"を筆頭に好い演奏が聴けた。これは私にとってのヴァンガード・ライブ(笑)、そんな奇跡を起こす街でもある。

    そう言う訳で(?)今回の盤であるが静謐なピアノ・トリオの筆頭。アナログでは知られた名盤で、ベーシスト:Ares Tavolazzi のリーダー作『KARS』である。ピアニストはBuruno Cesselli、ドラムスはFabrizio Sterre。湖面に映る透明度のある写真が限りなく美しく、その内容もジャケットの佇まいどおり切ない。 (続く・・)     

                     Mar11#04 
              Ares Tavolazzi Trio 『KARS』
             (1989 Artis Records ARCD013)


    00:45 | トラックバック(0) | コメント(0) | Piano | Page Top


    ■2009/10/07(水) ボントロ盤

    これは好いと心底感動した音楽は、ついつい人に薦めたくなるのだが、相手が運よく同様の感受性のある人間であればいいのだが、凡そは世評に左右され、誰かの借り物の耳しか持ち合わせていない輩が多く、口にしなければ良かったと悔やまれることが多いのが世の常。それ故、同好の士というのだろうか、ジャズを介して会話ができ、尚且つ、共感できる感受性で音楽を聴いている人と語り合えるというのは大袈裟でなく捨てがたい人生の楽しみなのである。まあ、全く同様な環境や感受性は望みようもないのでシマラーな感じではあるのだが。そいういう訳で、少々シニカルな文章はウィットの範疇。同好の士、語り合おうではないか(笑)

    さて今回は久しぶりにボントロの特集。嘗てその郷愁ある朴訥さを訛りある故郷の言葉に喩えたことがあったが、今もその思いは変わらない。ボントロの素朴な不器用さが限りなく心を癒すのである。

    さてボントロ盤と言えばこの盤、 Paul Haag-Danilo Moccia Twobones  『Easy On The Ear』である。#3 Richard Rodgers "My Romance"の何と言うリリカルな演奏であろう。大昔読んだことのある詩の批評に "ただ美しいだけの言葉を紡いでいるだけ…" 云々という批判的な文章があったが、ただ美しいだけのどこが悪いのだろう? 美、それだけを永続的に構築するのが如何に危うい作業であるか理解しているのだろうか? #6 Sammy Nisticoの名曲"Lonely Street”の溜息の出る演奏にはそれがある。この盤も1991年録音と古い。


      Oct04#04

        Paul Haag-Danilo Moccia

      Twobones  『Easy On The Ear』

      (1991 TCB Records TCB9210) 


    Isla Eckinger というとTCBの初期盤『L.A.Calling』が幻のレア盤に★5ヶで採り上げられ、価格が驚くほど高騰し入手に苦労したが、ロマンチックな私的にはこのBell Records盤の演奏の方が遥かに好ましい。彼はボントロとヴァイブという2足の草鞋を履くが、ともに出色の出来の良さで、唸りながら弾くヴァイブも優しいボントロの音色も堪らない魅力である。また、Andy Scherrer、Henry Chaixの参加も華を添える。生涯盤である。これも1982年録音とまたしても古い。


      Oct07#02  

         Isla Eckinger 『Hot Mallets』
       (1982 Bell Records BLR84030)

     

     

     

     

     


    23:55 | トラックバック(0) | コメント(0) | Brass | Page Top


    ■2009/10/04(日) It's Too Late

    先週、ちょっとした仕事が片付いたので、幾許か気が楽になった。休日の今日は朝からパソコンに向かいひたすらジャズを聴きまくっている。殆ど最近買った盤には手付けづな状態で、増殖するばかりのCDがデスクの半分を席巻、マウスを動かすのさえ難儀をするようになった。

    アナログ・オリジナル盤しか興味のないマニアには何ともレベルの低い話で恐縮であるが、最近、ある一枚のCDの発売で複雑な思いをしている。

    Ilene Woods 『It's Late』である。ある程度のジャズ・ヴォー・マニアで有れば言うまでもなく是非とも手許に置きたいと願う、内容と見栄えの良さを兼ね備えている50年代ジャズ・ヴォーの名盤である。国内盤では発売がないと思うが、10年以上前、東芝EMIが20枚ほどアナログでヴォーカル復刻盤を出した際、15枚を購入するとこの復刻盤をプレゼントするという特典盤商法を画策した(笑)ことがあった。

    特典盤とする位であるので、希少であるのが要件。勿論私は所持していなかったため、発売された20枚、残念ながら殆ど欲しいところは所有していたが、これ欲しさに15枚を買ったのである・・・と言いたいところであるが、流石にぐっと堪えて愚かな衝動と戦った。半数所持していなかったら多分、きっと欲しくもない15枚を目を瞑って買ったのではないかと思う。

    そう言うことで何とも気がかりな1枚がこのジュビリー盤 Ilene Woods 『It's Late』であった。以降、ヴォーカル・アナログ盤の餌箱を渉猟する日々が続き、労苦の甲斐あり数年前、めでたく入手がなり、心の平静を得たという訳である。勿論オリジナル盤ではなく『特典盤』である(笑)

    そういうIlene Woodsであるが、この曰くつき盤があのLP Time RecordsからCD発売されていたのである。『廃盤ジャズCD倶楽部』を独り標榜する私としては、アナログを所持しているからと言って本当に気に入った盤はCDで所持しなくていいという道理が見つからない。何はともあれCDを即ゲットしたのは言うまでもない

    この類まれな愛らしくも清楚な歌声、アルバゲッティよりも表情豊か、J.ロンドンよりも理知的、S.レイニーよりも愛らしい。CDで繰り返し聴き、最早手放せない1枚となった。本当に気に入った盤はアナログとCDの双方で所持しているが、こういう心から好ましい盤が増えるのは嬉しい。じっくりジャケを眺めながら至福のひと時を過ごしているのである。CDで聴きLPで観る。故障していて修復予定の無いアナログ・プレイヤーでは心ゆくまで愛らしい歌声を堪能できないのである。但し、CDジャケにはJubilee LP 1046 の印字がなく、少し寂しい。

    聴きこむほどにその素晴らしさに心震える。これほどの優れ盤が、何故にもっと早くにCD化されなかったのだろう。CD化を拒む何かアナログ勢力の画策があったのだろうか(笑)、CDでその素晴らしさが広く知れ亘ったほうがよりオリジナル盤の価値が上がるというものである。もっと言わせて頂ければ、何故に東芝EMIから出せなかったのであろう。等々、素人的な考えが過る。それにしても It’s Too Late である。

                   Sep29#02

                 Ilene Woods 『It's Late』(Recorded 1957 )
                 Jubilee1046

     


    16:09 | トラックバック(0) | コメント(5) | Vocal | Page Top


    ■2009/09/29(火) 秀逸薄倖廃盤

    銀座界隈も飽きたので、最近、散歩コースを佃島方面へ伸ばしている。幾つかの運河を渡ると古い街並みと遠景に高層の建築物との対比的な眺めが開けてくる。 そこはかとなく佃煮を煮込む醤油とみりんの甘い香りが漂う下町情緒と無機質の共存する不思議な空間である。ハゼの釣れる運河を横目に歩くと公園に出る。嘗てどこかで読んだ朧な記憶では、失職した吉本隆明がブラブラと時間を潰していた思われる公園がこの辺だろうか、同じように佇んだりして、その寂寥や無聊を追想してみる。

    さて、今日の一枚、幸薄い盤と言えばこのJan Reinen Trio の『Introducing』だろう。内容は一級品と言えないまでも相当のレベルである。それにしてもこのジャケットの造作はいただけない。プログレのアルバムならいざ知らずピアノに乗って夕暮れの街を飛んでいては余りに痛い。そう言うジャケなので私の知る限りでは世評に上がることは殆どない。しかし、聴けばその予想外の素晴らしさに驚き、長く手元に置きたくなる盤となり、最近では殆ど目にすることはない静かな廃盤となっていると憶測する。既に所持していても、目にするとついつい買ってしまう盤である。(人気がないので極めて廉価である、廃盤なのに?)

    今回、この盤を採り上げるのに際し、グーグルで検索すると、唯一ヒットする国内のサイトがあった。アマチュアのトランペット好きな方が運営されているものであったが、彼が数年前オランダに旅行に行った際、尋ねたジャズ・スポットにこのJan Reinen がベーシストと伴に出演しており、飛び入りでペットを吹かせて貰ったそうだ。何とも羨ましいことである。

    先ずはその収録曲に痺れる。
    #1 ブルーベックの名曲"In Your Own Sweet Way" 三位一体となった何気ない軽妙な演奏から三者の並々ならぬハイ・スキルが窺える。破綻のない息の長いフレーズに吃驚する。
    #2 ベーシスト Eric Surmenian のオリジナル "Eric's Lullaby"。重厚なベースが奏でる主旋律にピアノが美しく絡む。ブラシュがひたすら優しい。Eric Surmenian の作品は以前どこかで聴いたことがあったが思い出せない。
    #3 最早スタンダーズとなった"Maden Voyage"。テンポを抑え気味なのが逆にスリリングである。
    #4 Jan Reinen のオリジナル"Chasin' Clouds"。又しても熱を帯びるアドリブ群。
    #5 これも今や押しも押されぬWショーターのスタンダーズ的名曲"Black Nile"。
    #6 Hハンコック再び、これも最早スタンダーズだっ。"Dolphin Dance"。
    #7 "Blue In Green"。マイルスと言うよりエヴァンスのと言うべき静謐にして熱狂的演奏。
    #8 Jan Reinen のオリジナル"Dickhead Blues" 縦横にピアノのアドリブが舞う。

                  Sep29#01 
                  Jan Reinen Trio 『Introducing』
                 (2002 Munich Records BMCD337)

                  


    05:52 | トラックバック(0) | コメント(2) | Piano | Page Top


    ■2009/09/22(火) ジャズはセンスだっ〜古い盤が好い

     音楽は『めぐり会い』がつくづく大事だなぁと思ったのはこのHelio Alves 『It's Clear』 を聴いてのことだった。Helio Alves の作品は過去2枚ほどレザボアのピアノ・トリオ盤で聴いていたが、極めてセンシティブで、極言すればそれだけで成り立っている音楽であると思った。これは貶し言葉ではなく、私的には最上の褒め言葉である。ジャズは『センス』命の極上のアドリブを聴けさえすればそれでいいと思う。スイングもグルーブも『センス』、これはなかなか便利な言葉だ。そしてこのHelio Alves に長年注目しているギタリストRomero Lubamboが共演したというのであるからこれは凄いことになっているぞと極めて個人的に興奮した。このRomero Lubanbo であるが、超絶なテクニックと緻密な構成力を足場にラテン・フレーバーでアグレッシブなアドリブを展開するという、一聴でRomero Lubamboと識別させる、センシティブなギター弾きである。ラルフ・タウナーと伴にガット・ギターを弾く稀有なギタリストである。 そんな2人がめぐり会ったのである。瑞々しい果実を割った瞬間の弾け飛ぶ果汁のような演奏である。またもジャズは『センス』だっの想いを強めた鮮烈な一枚である。              

                       Aug09#24 
                                             Helio Alves 『It's Clear』(2008)

    前回、『センス』は便利な言葉ということを書いたが、同様日本語でも便利な言葉が沢山ある。例えば『絶妙』、『抒情的』、『知的』等々(他にも色々あるのだろうがそう直ぐには思い出せない・・)。発せられると何か深いものを現わしているような錯覚を与えるので不思議な言葉であるが、よくよく考えてみると一体何を現わしているのか漠として解らないのに驚く。これは日本語独自の語法の曖昧さと、個々の極めてパーソナルな解釈に衣拠する事の二つの要素が絡んでいるので中々一筋縄ではいかない。ドルフィー曰くの消え去りゆく音をこうした曖昧模糊とした言葉で表そうとしているのだもの、土台無理はある・・・言葉はこうした曖昧さ、幻想の上に成り立っているのであるから逆に面白いのであると達観するしかない。

    さて今回はフィリー・ジョーの最後のレコーディングとなった(ライナーに記してあるので間違いあるまい)音源を紹介したい。と言ってもそれが目的で購入した訳ではない、Cees Slinger 狙いなのは言うまでもない。『センス』続きで言わせて頂ければ、#2 "Growing Up"の極めた哀愁感、そしてセンシティブなバラッズの極み #5 "If It Were Only You” 、これだけでこの盤を求める意義がある。この常套句的な切り口ばかりで申し訳ないが、聴くたびにそうした嘆息が漏れてしまうのも事実、更に言えば一曲として捨て曲はなく聴きこんでゆくと全曲が素晴らしくなるのも事実である。さて例に漏れずこの音源も1985年録と古く、つくづく古いもの好きな自分であるなぁと思う。しかし最近の録音盤で、これ程思い入れのある盤は数えるしかないのでしょうがないのである。

                       Sep23#01
                       Cees Slinger 『Sling Shot』 (1985)


    20:09 | トラックバック(0) | コメント(2) | Piano | Page Top


    ■2009/09/20(日) 廃盤セール雑記

    昨日、これという目欲しい盤もなかったのだが新宿DU廃盤CDセールへ出かけた。廃盤界(?)の減速気味の傾向から、それほどの賑わいはないだろうと多寡をくくり 1時間20分前に到着してみると既に10名ほどがスタンバイしていて驚く。どうしたことだろう? シルバー・ウィーク効果なのだろうか。中に2名ほどの顔なじみがおり、私より遅れて2名が参戦してきたので、整理券を受け取り5人でお馴染みの珈琲ショップでの近況報告会となった。

     "今回の狙い盤は何?" というお決りの話題には、特にない旨を言う。セール告知に並ぶジャケ写には特に惹かれる盤はなかったのである。強いて言うならJordi Vilaelsの虎盤を所持しておらず気になっているがこの順番では無理だろう。前回のお茶水DUセールでゲットした仲間の一人**氏から出来の良さを聞き、些か心が動くがそれ程強い入手願望ではない。

    そう言うことで、雪崩込む11:00直後、フェイスには何故かJordi Vilaelsの虎盤がポツンと残っている。高額ゆえ誰も手を出さないのだろう。この盤は私の知る限りでは市場に出るのは2回目(オークションでも出てはいない筈である?)である故、徐に手を延ばした。何故だかそれほどの感慨はない。試聴をして見ると**氏の言うように成るほどの素晴らしい盤である。これは多分再発されるようなレーベルではなさそうだ・・今を逃すと入手困難であると判断し目を瞑って購入した。

    さてそう言う訳で私の廃盤セールは高額商品に翻弄され、"しめしめ・・おバカなマニアを仕留めたぜ" という感慨をDU廃盤セール担当店員に抱かせることとなったのである。加えてこれは私的には逆に素晴らしくお買い得品をゲットしたと思えたのは1989年音源『Jazznost:Moscow-Washington Jazz Sammit』と1996年の音源John Nugent『West Of Flatbush』を各廉価で入手できたことである。双方圧倒的に好い盤である。これだから廃盤セールは止められないのである。

      Sep19#02    Sep19#06      Sep19#04

    Jurdy Vila i elis Seus Amics    『Jazznost:Moscow-Washington      John Nugent
    『Homenatge A Cherles Mingus』  Jazz Summit』(1989)           『West Of Flatbush』
    (1992)                                               (1997)


    12:42 | トラックバック(0) | コメント(6) | Brass | Page Top


    ■2009/09/18(金) 私的名盤

    それほど騒がれない盤であるが一部の心ある(?)マニアが『これは本当に好いなあぁ』と思う極少数の盤は誰しも手放すことがないので、再発されることがなければ市場に出ることは殆どない。それらは地味な盤であればあるほど再発から見放され、ますます忘れ去られる運命となる。

    横綱級な廃盤、たとえばあの一世を風靡した(?)雑誌『幻のCDレア盤/廃盤』掲載の★★★★★の諸盤、又、雑誌には掲載がないが『Trio Davenport』、『Railroad』、『Prysm』、『Smithonian』、『Nexus』、『Time Remember』等々のオークションや店頭では確実に5桁には高騰するであろう一群、私もマニアの端クレであるので一時血眼で捜し、凡そ蒐集したが一旦入手してみると落胆する盤が半数、なるほどの盤が半数と言ったところであった。特にその中でも優れた盤の出来の良さは突飛であるのは言うまでもない。

    今回はそう言う盤と比較すると全くの小粒、同列に語るのが些か疑問な盤ではあるが、ラックの奥に大切に仕舞い込んでいた数枚の『名盤』(?)をアップしたい。紹介することで再発され希少性が失われるという悪しき影響も考えられるが、それほど影響力のあるブログではないし、また、あくまでこの駄耳で聴き私的に名盤と思い込んでいるだけなので心配には及ぶまい。

    先ずはスティープル・チェイス等でエキサイティングなヴァイブを聴かせるジョー・ロックがヘンリー・マンシーニの美曲をビリー・チャイルズ・トリオ(w エディ・ゴメス、ジョン・ジャクソン)と奏した名盤『Tribute To Henry Mancini』である。ヘンリー・マンシーニの蜜のように甘い旋律をジョー・ロックがセンシティブに優しく紡いでゆく様は何度聴いても感涙する。ビリー・チャイルズのピアノも繊細なタッチを極め、ジャケも秀逸で言うことはない。

               Sep17#01

             Joe Locke & New York Quartet
                  『Tribute To Henry Mancini』(1994)


    01:11 | トラックバック(0) | コメント(0) | Vibe | Page Top


    ■2009/09/08(火) テナー盤について

    家族性の気になるほどではない病気を持っているので、(気になるほどではないと思っているのは私の勝手な思い込みかも知れないが・・)月一回病院へ通っていたのだが、ここ数年来地元の小さな医院へ行っている。そこは私の年老いた母が掛かりつけの医院で2代目を先代医師の娘が継いでいて、なかなか評判が良い。『お前も診てもらったら良い、たまには私が薬も取りに行けるだろうから・・』と言われ、ついその気になった。娘の医師は私より一つ年下で小さな頃から知っているので初めて診てもらうときは少しだけ複雑な気持ちであったが、患者と医師であると割り切った。彼女は小さい時から勉強もせずに優秀、確か国立の医大へ行った筈で、同様近所に開業のやっとこさ私学の医大にもぐり込んだガリ勉同級生の医院とは対照的である。が唯一の欠点、何にしても手厳しいのである。ストレートな前髪から覗く切れ長の美形な眼で睨まれると平伏するしかないのである。

    そういう訳で、今日はその幼馴染の女医にこっ酷く叱られたのである。と言うのは血液検査の数字が酷かったからである。血液検査の前日まで出張が続き北陸、九州、関西と連日宴会をしていては良い数字が出る訳はない。加えて運動もしてはいないのだから・・・前回検査の時にそう言った筈だがと小さく嘯いたが聴いてはもらえない。自業自得である。

    さて話はジャズである。

    これは明らかに偏見であろうし、乱暴な言い方を承知で言うが、テナー・サックスの演奏については、最近のものより古いものが好い。逆にピアノの演奏では新しいものが優れているのではないかと思い込んでいる。故に今でも夜半、聴きたい管楽器盤はと言えばレスター・ヤングを筆頭、古いチャーリー・ラウズであったりズート・シムズであったり、ラッキー・トンプソンであったりを選ぶ。滅多に最近のものを聴こうとは思わない。それゆえ。最近の盤で好いと思えるものが貴重で、事あるごと優れた管楽器盤を友人に尋ねたりしているのだがこれと言う盤は哀しいかな少ない。

    そういう中でこれはという希少な盤の一枚。大好きなピアニスト:Dado Maroni に名手Thomas Stabenowのベース Klaus Weiss のドラムスが加わり、Andy Scherrer と Roman Schwaller の艶やかなテナーが重厚に唸る盤である。それぞれ全員がリーダー盤を持つほどの力量のあるプレイヤーである。流石の演奏、敢えてスタンダーズを演る意気込みが好い。

                       Sep07#02

                 Saxophone Connection (L+R Records CDLR45046)
                                   Recorded 5/5 1991  


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