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    ■2010/10/17(日) 漁盤アナクロニズム2009

    驚くほど田舎であるが、我が家のそばにジャズのライブ・ハウスがあった。山里にあるその山小屋風の店は週末だけ営業し年に数回、国内のそこそこのミュージシャンを呼んでライブを行った。その昔、音楽関係に携わっていたというマスターはその店の経営に加えピアノの調律などを行い、また奥さんが手芸などを教えていたようだった。数年前、マスターが亡くなりその店も今はない。また、近所の駅の近くの2階にジャズを聴かせてくれる粋な割烹風の店があり、初めておずおずと訪れた時たまたま流れていたのがキース・ジャレットのスタンダーズVol.2であった。これは好いですねとマスターに語りかけると、キースを素直に好きだと言う人が少なくてとマスターがぼやき、トリオ演奏に於けるキースの素晴らしさを語り合ったものだった。ライブの度にハガキで知らせを頂いたが、遂には閉店の知らせが来てその店も今はない。バブル崩壊後、同種同様な例は嫌と言うほど目にしてきたので目新しいことではないが、その都度寂しい想いをしている。ジャズを目玉に何か商売を成り立たせるのは極めて難しい事だと思う。

    ジャスを心底聴きこんでいる人口などたかが知れているし、ジャズを聴いていますと言う人と話をしてみてると決まって入門書的なミュージシャンの代表的な盤しか聴いていないことが多く、どこかアクセサリー的ファッション的スノブ的(?)な感じがしてならない。(音楽の享受など自由で、だからと言って悪い訳ではないのだが・・)つまりはそういうマイノリティな存在であるので商売を画策するのは厳しく、ジャズをもっての商売は困難なのである。

    さて、いよいよ2009年、SJが発行した最後のデータ・ブックとなった。

    益々意気盛んなDon Friedman、前年は新録であったが、1978年録音の旧作がCD化となった。ジョージ・ムラツとロニー・べトフォードを従えたD.Friedman、彼の作品にしては些か力強い感がある。奇しくもあの名盤『サークル・ワルツ』が同年再発されたが、かの盤のリリカルさには遠く及ばない。D.Friedmanの本質は静謐な抒情性にあることを強く感じさせる盤である。内省の要あり。

                ドン・フリードマン
               『レイター・サークル』 
         (1978年録音 BayState BVCJ-34441)

    前年の作品にも劣らない彼女の魅力を最大限に発揮したアルバム。これが2作目とは思えない精神的な強さと余力を感じさせる歌唱、流石と云うしかない。自主製作盤には痛い思いをしたが・・・。

               メロディ・ガルドー
            『マイ・オンリー・スリル』
         (2008年録音 UJC UCCU-1186)

    Rob Van Bavel の古い作品を聴き、改めてこれは凄いピアニストだと思った。オランダには何人か飛び抜けた才の認められるピアニストが居るが、彼はこの系列の正統な後継者である。今回はシリーズ中 En Blank Et Noir.11 としている盤でドラムレス・トリオの傑作である。このシリーズは決して軽視はできない。

                  Rov Van Bavel
               『En Blanc Et Noir 11 』
        (2008年録音 Daybreak DBCHR75437)

    パーカーの偉大さをパーカー以外の音源から聴くのが好きだ。例えばピーター・キングなどアルト奏者のその手の盤があるとついつい手を出してしまう。この盤もそういう類いの一枚だが、それ程の話題性はないと思う(?)。しかし私的には結構気に入っている。スイス産であるのも変わっていて好い。

              Romano Ricciardi
             『Remembering Bird』
       (2008年録音 Romano Ricciardi RR1)

    ジャケ写が掲載できないのが残念だがこの何とも言えないレイジーな感じが堪らない。思わず何も考えずに購入したが、聴くと思った通り堪らない内容であった。こういう風に内容をおのずと語ってくれるジャケ写が好いのだけれど最近はなかなかお目にかかれないのが寂しい。レコード会社はもう少しジャケットの作り込みに熱意をもって欲しいものだ。

               Joanna Rimmer
            『Dedicated To・・・・Just Me!』
         (2009年録音 SAM Productions SAM9013)


    『Michel Petrucciani -Niels-Henning Orsted Pedersen』などの好い盤もあったがまた後日。
    これでこのシリーズは終了だ。
         

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    ■2010/10/16(土) 漁盤アナクロニズム2008

    最近、歳も歳であるので、おおよそのことにそれ程新鮮な感動はないのであるが、あらゆることに対してどうにも面白くないのである。面白くないと言っているが別に腹を立てている訳ではない、新鮮な感動がないのである。ジャズを聴いても然り、本を読んでも然り、一層これらの音楽ソースと音響装置でも売って小さな2シーターのカブリオレ車でも買って乗りまわしてみようかとか色々な気晴らしを考えてみる、が、どれも然して面白くないと想像の域で達してしまう。人生の残り時間について考えるとどうしても自分に拘ってみたくなる。この私と云う感受性を真の感動のヴァイブレーション(?)に曝してみたいのである。しかし具体的に一体それがどういうことであるのか、よく判らないのである。唯々そんな危険な(?)方向性の定まらない衝動に突き挙げられてならないのである。困った中年性の神経疾患である(笑)。

    さてこのシリーズ(?)もあと2回で終了、2008年のデータ・ブックである。

    ミリアム・アルターというベルギーの女性コンポーザー / ピアニストが好きである。音楽の感動を構成する主要件の一つに哀愁感があると思っているこのオヤジ音楽愛好家に、彼女の演奏は深い共感と感動を与えてくれる。車のシートに凭れかかった渋いジャケ写のアルバムは何と云ったか忘れたが、近年稀に見る実に好いアルバムだった。後年澤野商会から(申し訳ないが)出来の悪いジャケットで再発されたが、あのジャケはなんとかならぬものだろうか?で、今回の盤であるが、ミリアム・アルターが作曲と指揮で参加し、どうやら演奏家として鍵盤を叩いてはいないようだが、どこから聴いても彼女の音楽であるのは寸分間違いない。  

              ミリアム・アルター
             『ホエア・イズ・ゼア』
       (2007年録音 Enja VQCT-10001)

    あまり声高には言わないが、基本的にジャズ・コーラスが好きである。特にこればかりはピアノ・トリオと違い、古いところが好いと言うのは間違いない。(ピアノ・トリオでも古い好いものがあるが・・・) で、ジャズ・コーラス、古いところが好いと言うが、シンガーズ・アンリミテッド(混声だが)などは、例外的にほぼリアルタイムに聴いたので今聴いてみると胸が締め付けられるような郷愁が感興される。そこで今回の盤であるが、アンドリュー・シスターズである。ノスタルジーを感じる盤であるが、シンガース・アンリミテッドの喚起するノスタルジーとは全く異質、セピア色の枯れた郷愁感、実に客観的である。

                アンドリュー・シスターズ
                  『素敵なあなた』
       (1937年~1948年録音 Boutique UCCM-4065)

    トリオ・アコースティクは好いピアノ・トリオである。幾つかお勧め盤があるがこの年、驚くべき廉価で発売されたのがこのアルバムである。安かろう悪かろうと思うのは大間違いである。実に芯のある素晴らしい出来である。SJ誌では★4つであるが、こう言う盤にゴールド・ディスクを与える発想はあるのだろうか、いやあったのだろうか。メセニーの"Always And Forever"は最早スタンダーズだと思うがここでも好い演奏が聴ける。

                トリオ・アコースティック  
               『ジャイアント・ステップス』
         (2007年録音 Tapas Records TPRD-001)

    Riccardo Arrighini というイタリアのピアニストが好い。主にPhilology レーベルからの発売が多いと思うが、どの盤も優れたセンスが横溢している。この年、ピアノ・トリオで別なレーベルから発売されたことは知っていたが、デジパックに抵抗があり買わずにいた。後、止む無く購入したが聴いてみると思った以上の出来で、外装に拘っては駄目だと悟った。演奏は一層内省の感が強まったようで私的にはとても感動した。中古市場では沢山出回っているので一般受けはしない盤なのだろう。実に残念である。
      
              Riccardo Arrighini
             『Cambio Di Marcia』
         (2006年録音 Incipit INC 103)

    Don Friedmanの新作が出ると何故かそわそわしてしまう。この盤は特に感慨が深い。"Circle Waltz"のクレジットがあるからである。再演、いや『Circle Waltz - Then and Now』があるので再々演となるのだろうか?今回は一体どんな演奏を聴かせてくれるのだろうか、心配と期待の入り混じったような複雑な想いである。 何しろ初演が素晴らしすぎる・・・D.Friedmanがわが子の様に心配なのである、老人なのに・・・(笑)   

               Don Friedman
              『Straight Ahead』
       (2007年録音 No Coast Jazz NCJR01)


    Melody Gardot の唄を初めて聴いた時、雷に撃たれたように感動した(大袈裟?)。買うに際し、へそ曲がりな私は売れに売れた盤を俯いてレジに差し出したが、その甲斐あり何度聴いても素晴らしい歌唱なので満足した。後、彼女の幻の吹き込みがあると知り入手しようとしたが時既に遅かった。どの店にも在庫がなく遠く海外のサイトで入手をした。しかしこれは聴いてみると意外に期待外れでがっかりした。

           Melody Gardot
         『Worrisome Heart』
       (2008年録音 Universal 1749640 )


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    ■2010/10/13(水) 漁盤アナクロニズム2007

    先日お茶の水橋をJR駅方向から東京医科歯科大方向へ歩いていると何故か右側の欄干に人だかりがしている。お茶の水橋はJR駅と地下鉄丸ノ内線を結ぶ経路となっているため普段でも通行量は多いがその日の混雑は一際だった。原因はカメラを手にした一群の人々で、彼らは欄干から身をのり出したり、またそれ程オーバーな仕草ではないにせよ一様に聖橋方向の外堀を見下ろしている。カメラは殆ど一眼レフで、ライトアップされた聖橋のアーチは本当に美しいので何かの撮影会でもあるのかと思ったがレンズの先を見て、いや、これがあの所謂『鉄ちゃん』ではないかと思い至った。成程、彼らのレンズはもう少し右下、JRお茶の水駅ホームに止まっている新型(かな?)電車に向かっているようだ。

    私の様に興味のない人間には理解できるものではないが、好きなマニアにはあの連結した鉄板の工作物の風情・仕草(?)が堪らないのだろう。

    『憑き物が落ちるように』という形容がある。何かに夢中になっていたものが、何かの拍子に急に興味が失せてしまうようなときに使う形容かと思う。その何か訳のわからないものに突き動かされた様がどうやら説明できないので、憑き物(人知を超えたおどろおどろしいもの?)が憑いたという風に形容したのだろう。で、そういうものが何かの拍子に(・・どんなタイミングで何故なのか、これも理解できないが・・)突然、落ちてしまうことが間々あるのだろう。

    橋上の人々を見て、ふと、その『憑き物が落ちる』という言葉を連想してしまった。いつかぱったりとそういうものに興味を失ってしまうことだってあるのだろう。あれほど熱い視線をおくっている対象にさえ。。

    さて、我がジャズとて例外ではない、そんな危惧を抱いている。

    ところで最もジャズにのめり込んだのはいつの頃だったろう? ジャズの海原、どっちに何があるのかも皆目わからなかった頃、知ったかぶりをしてジャズ喫茶に通い演奏中のジャケットを見ぬふりしてチェックをしていた頃、ジャズ基本アイテムを入門書を片手に聴き漁っていた頃、ウェスト・コーストがお洒落だと夢中になった頃、ヴォーカル盤を訳も分からず片っぱしから蒐集していた頃、コンサートやライブに血道を上げて通っていた頃、欧州ジャズの優越性に酔っていた頃、廃盤と名盤の幻想を求めていた頃・・・今ではすっかり冷めてしまった事もあれば、今でも夢中な事もある。当時の熱中度合いには敵わないが、まだまだ幾枚か追い求めている盤もある。そうした変遷はあるものの、『憑き物が落ちるように』興味を失うまでには至っていない。幾分覚めた心をギリギリに支えているのはジャズの真の(?)感動であると云うと大袈裟かな。

    さて2007年のデータ・ブックである。

    国内盤ではザ・バッド・プラスが印象的だった。安易にロック色が濃いというフレーズを使いたくなる誘惑に駆られるが、実のところロックと一口に言うのもなんだか乱暴である。このバンド(と何故か言いたくなる・・)は特徴的なリフが新鮮で、最近のピアノ・トリオの傾向の一つにこうした判り易いリフが多用されていると思う。従来のピアノ・トリオの基本線がメロディアスとすれば、これがもう一方の趨勢であるのだろうか。ロック~フュージョン~ジャズ路線の私には全く違和感はない。
        
                  ザ・バッド・プラス
                    『プログ』
          (2007年録音 Do The Math Records UCCM-1122 )


    勿論これは発売当時アナログで聴いたものだ。LPでは2枚組のライブ盤で、それをカセット・テープに録音し、いやと言うほどドライブ中に聴いたヘビー・ローテーション盤である。ジョージ・ベンソンではこれが最高傑作だと確信している。国内発売されるより前に輸入盤CDで聴いていたが、こうしたアルバムは断然CDの形態が似合う。所謂フュージョン音楽はCDの出現を待って開花すべきだったと愚にもつかないことを考えた。
    ジョージ・ベンソンはウェスの後継者と目されてスタートしたというのが大方の見方だが、この時期に来てより大きく飛躍したと思う。歌心ある満ち満ちたテクにメローなヴォーカル。一際の想いがこもった盤でもある。

                 ジョージ・ベンソン
               『メローなロスの週末』
         (1977年録音 W.B. WPCR-25052)

    輸入盤では定番のDog Arnesen 、Lynne Arriale 、Michel Bisceglia、Mark Copland等の輸入盤はありふれているので割愛する。今回はダニーロ・レアの率いるユニット『ドクター3』というピアノ・トリオをとりあげたい。演奏曲が昔聴き馴染んでいたポップ・ミュージックを中心に、低俗に流されることないセンシティブな演奏を聴かせてくれるので大変気に入っている。今回のアルバム『Blue』には"Close To You” "Fire And Rain" ・・・言うまでもなくカーペンターズとジェームス・テーラー(キャロル・キングかな?)のメロディアスな名曲が収録されていて、題名を目にすれば一殺である。確かニール・ヤングやボブ・ディランの曲なんかも演っていたと思う。実に好い傾向である。

                Doctor3
                『Blue』
       (2006年録音 Via Veneto Jazz VVJ059) 


    チャーリー・ヘイデンは一体何枚のデュオ盤に参加しているのだろう。人生の目標をデュオに賭けているのだろうか?ジャズの範疇ばかりではなく、ブルース盤にまでクレジットされていたのには驚いた。きっと参加する未知の盤がわんさかあるのだろうな。今回は馬鹿テクギタリスト:Antonio Forcione とのデュオ盤で素晴らしく密度の高い演奏を聴かせる。ヘイデンは少し前にジョン・テイラーと極美のデュオ盤を作成したが、この盤はそれにも充分比肩しうる素晴らしい演奏である。やってくれるなぁ。

         Charlie Haden-Antonio Forcione
              『Heartplay』
         (2006年録音 Naim CD098)

    Svein Olav Herstad のピアノは凄い。1,000,000,000,000で、いや一聴で直観できる。石畳に足が写った名盤があるが、私的にはこの2006年録音の『Inventio』により感激している。精緻にして熱い演奏が名曲を彩る。こういう盤だけをコツコツと聴いていけたら素晴らしいジャズ人生となるだろうな。

            Svein Olav Herstad Trio
                    『Inventio』
      (2006年録音 Jazzaway Records JARCD033)    

    20:19 | トラックバック(0) | コメント(0) | Various  | Page Top


    ■2010/10/11(月) 漁盤アナクロニズム2006

    休日の昨日、妻と連れだって田舎の街をドライブした。駅の構内に温泉のある渓谷沿いの街に着いたころには初秋の夕刻が近くなっていた。どこかで夕食をとろうということになり、大昔行ったことのある田舎料理の店を思い出し、妻に美味しいものを食わせてやろうと大言壮語してしまった。しかしその実、所番地など知らず大雑把なイメージでしか記憶がなかったので、暗い夜道をナビと勘だけを頼りに心細く進んで行った。辺りは街灯もなく段々と寂しい道になり、本当にこんなところにそんな店があるの と妻がさかんに訝る。幸い走ってゆくと一軒のコンビニが夜道に明るく在ったので小物を買ってその田舎料理の店を尋ねた。幸いにも若い女性店員が知っておりもう直ぐ先とのこと、やっとの思いで辿り着いた田舎料理店だった。田舎にしては法外な値段の『ほうとう饂飩』を食べたが、豪華で美味しかったので“うるさがた”の妻も納得した。しかし本当に“やれやれ・・”の一日であった。

    さて2006年のデータ・ブックをひも解くと。。

    何よりも驚いたのはビヴァリー・ケニーのデビュー前のデモ・テープの音源が発見されCD化されたことである。邦題『二人でお茶を』である。早世した彼女の盤は6枚しかないと思っていたので実に嬉しい晴天の霹靂であった。しかもピアノだけを唄伴にした、シンプル好きな私には何より増して嬉しい盤である。それにしてもなんという愛らしさであろうか、しかも単純な愛らしさではなく、微量なハスキーさが堪らない歌唱のスパイスになっている。所々に入る軽い笑声さえ愛おしい・・・完全に参りましたの一枚である。
    ところでこの盤の題名であるが、アルバムには確かに”Tea For Two”は収録されているが、ジャケに大きく『Snuggled On Your Shoulder』と記してあり、またジャケ写のイメージからすれば『君により添えば・・』ぐらいな感じで好いだろうに・・・まあ、いいか、この可愛さ。

              ビヴァリー・ケニー
              『二人でお茶を』
    (1954年頃録音 Cellar Door Records XQAM-1003 ) 

    ヨアヒム・キューンは特別な存在である。『スピリチュアル』という言葉が最も似合うピアニストである。この盤は既に輸入盤で聴き、その凄さはわかっていたつもりだが、改めて大音量で聴くとその凄まじい演奏が怒涛の様に襲いかかってくる。故にとうとう国内盤発売となったに違いない。特に”Nightline”の先鋭的な演奏は聴く度にジャズの『喝』を入れられるような気がしてならない。マイケル・ブレッカー、ボブ・ミンツァーの活躍も特筆ものだ。

               ヨアヒム・キューン
           『ナイトライン・ニューヨーク』
     (1981年録音 Another Side Of Jazz QSCA-1027)

    Katrine Madsen もまた特別な歌い手である。大雑把な括りは好きではないが、敢えて分類すれば前記のビヴァリー・ケニー等の所謂キュート系のヴォーカルとは一線を画す。強いて言えばディープ系、ムーディ系などと括れるだろうか。そんなマドゥセンが共演歴のある男性ヴォーカリスト、これもまたディープな歌い手であるSvante Thuresson と創り上げた絶品である。バックには、これも深い味わいのピアニストClaes Corona がトリオでサポートする。最早ここまで達するとFemale/Maleの区分も然ほど意味がないだろう。
        
          Svante Thuresson -Katrine Madsen
                 『Box Of Pearls』
       (2005年録音 Stunt Records STUCD 05142)

    実のところ、この Tim Whitehead と Giovanni Mirabassi の『Lucky Boys』を聴いてから他のテナー盤が聴けなくなって困った時期があった。彼らの直球的でブルージーなジャズは真っ芯で受けるより他がなく、そのストレートな演奏に感動の核心を射ぬかれてしまったのである。この感動は大昔に聴いたCCRである。泥臭い真っ直ぐなロック魂(笑)である。

           Tim Whitehead-Giovanni Mirabassi 
                 『Lucky Boys』
        (2005年録音 Home Made Records HMR050)
             

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    ■2010/09/24(金) 漁盤アナクロニズム2005

    大方のジャズ愛聴者がそうであるように(?)、結局楽器はどれもものにできなかった。手許には誰彼作のガット・ギター(一番まともだが行方不明)、タカミネのぼろセミ・アコ、ハミング・バード(もどき)、ぼろフェンダー・ストラト、ローランドのエレピ、ヤマハのアップライト(要調律)、息子の怪しいぼろドラム・セット等々があるがやたらと場所を食うだけで最近殆ど触っていない。それにも関わらず最近テレビで高校生の女性アルト吹き(名前失念)を見てからその疾走感に感激、アルトも良いなぁと思った。管楽器は演ったことがないので50の手習いで始めようかと血迷っているが、やはり幼少よりの鍛錬それを持続する気持ちと環境、そして何より天賦の才が必要なのである。

    そういう訳でリスナーに徹しているのが一番似合っていると悟る今日この頃、2005年のデータ・ブックである。

    根っからのジャズ・ヴォー・ファンという訳ではない。本格的なジャズ・ヴォー・ファンのようにブレイクした阿川泰子やAVに走ったヴォーカリスト(名前失念)に殊更目くじらを立て英語の発音や歌唱力のなさを声高に批判する気にもならない。某批評家同様、ヴォーカルは声質の好き嫌いでほぼ決定すると言うのが自論なので、ビリー・ホリデーやエラやサラの様に唄わなくても一向に気にならない。それでアナ・マリア・アルバゲッティの登場である。可愛さと清楚さと壊れてしまうような儚さを上品な声質で包んだようなヴォーカルである。人によったら拒絶反応を示す部類だろうが、まだまだ私的には許容範囲、寧ろ好きである。CD化されたものはCDで聴くというアナログ一辺倒のマニアではないのでこの『ウォーム・アンド・ウィリング』のCD化は嬉しい。しかし、このクラシカルな歌唱、正直ジャズ・ヴォーだと正面切って主張する気にもなれない。

         アナ・マリア・アルバゲッティ
         『ウォーム・アンド・ウィリング』 
          (Capitol TOCJ-9641) 

    ドグ・アルネセンが好きで、リーダー作は勿論、サイドで参加の盤も含め大方の盤を蒐集してきた私としては、ほぼリアルタイムで国内盤が発売される運びとなった事がうれしい。言うまでもないが最近のピアノ・トリオの構成要件を満たす、程良い抑制の抒情的なピアノ・トリオ・アルバムである。こういうピアノ・トリオが標準化され更に一層の進化/深化を経ることでより感動的なアルバムが出現することを強く願っている。

           ドグ・アルネセン『タイム・イナッフ』
         (2004年録音 Taurus NTRCD-845)

    ジョン・コルトレーンの国内盤に関して言えば、いつでもどこでも入手はできるし、輸入盤、ブートレグにしてもそれ程苦労しなくて入手できる(だろう)。これぞ定盤中の定盤の証左であろう。そのコルトレーン作品であるが、2005年発売の国内盤を数えてみたら何とインパルス、プレステッジ、アトランテックで36作品となっていた。毎年それ程コルトレーン作品に注意していた訳ではないので、その36という作品数が多いのかどうか判らないが、よく考えてみれば総数に比して順当なのではないかと思う。因みにマイルスは62枚である。
    コルトレーン、この盤などは特に好きな盤である。


          『ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン』
            (1963年録音 Impulse UCGU-7024)

    ルイス・ヴァン・ダイクは長いキャリアのピアニストである。しかも創造性が泉のように湧きでる様は奇跡的である。どこかドン・フリードマンと同じ匂いがする。

             ルイス・ヴァン・ダイク
             『バラード・イン・ブルー』
          (2004年録音 M&I MYCJ-30323)


    片やアルバゲッティが好いと言う舌の乾かぬうちに、このアリエル・ドンバールが好いというのは節操のない浮気者の証だろうか。しかし自らの嗜好に素直になれば双方、好ましいというのが正直なところである。しかたがないのである。濃厚なお色気、コケティッシュなヴォーカル、映像作品もありヘビー・ローテーションで観ている。要はバランスなのだと言い訳をしようか。。

           アリエル・ドンバール
          『アモール・アモール』
       (2004年録音 Sony SICP-867)






          

    13:09 | トラックバック(0) | コメント(5) | Various  | Page Top


    ■2010/09/23(木) 漁盤アナクロニズム2004

    久しぶりの雨である。慈雨というにはお百姓さんに対して生意気で、大袈裟だが、ある意味私的にも恵みである。

    2004年は長いジャズ・スパンで言えば昨日の様な感じで、新しいことこの上ない。データ・ブックをパラパラとめくってみてもこれというものが見当たらないが、そんな中にも砂浜のダイヤとまでは行かなくても模造ダイヤぐらいのものが数粒ある。

    国内盤ではフェリシア・カーターという歌い手が2000年に吹き込んだ『イン・ザ・ピンク&ソング・イン・ブルー』という盤がノーマから発売されたが、幾度も聴きこむと忘れられくなった。発売された直後は毎日聴くが、そのうち飽きてきて聴かなくなる盤よりも、こういう風に徐々にその好さが沁みこむような盤が好ましい。髪飾りはビリー・ホリディを意識してのことだろう。蓮っ葉なヴォーカルが好きなのだ基本的に、私は。

            フェリシア・カーター
       『イン・ザ・ピンク&ソング・イン・ブルー』
       (2000年録音 ノーマ IMCD-2340) 

    これまたミーハーであるが、エリアーヌの邦題『夢にそよぐ風』の素晴らしさには吃驚した。風格さえ感じるヴォーカルとピアノの腕前には相変らず言葉を失う。加えてジャケ写が各段に素晴らしい。密かに聴いていたのだが、この盤だけはとりあげたかったのである。しかし『夢にそよぐ風』という邦題はおかしくないか?

                イリアーヌ『夢にそよぐ風』
         (2004年録音 BGMファンハウス BVCJ-31037)

    赤い炎ではなく青白い炎のほうが高温であることは中学辺りの理科で習ったことがあるが、まさにこの盤は高温の極み、青白い炎のような盤である。静謐な情熱を秘めた素晴らしい盤である。廃盤になり玉数が少なかったならば、この秀逸内容、レア本でも優に5★になっていた盤であろう(?)。また、SJがゴールド・ディスクに選定するような方向性をもっていたならば、もしかして存続は可能だったのではないか(?)などとつまらぬ妄想をしている。4★はないだろう・・・

               マイケル・トカイ『バード・アローン』
            (2003年録音 ガッツ・プロダクションGPTS-015)

    Naimというレーベルから出たCharlie HadenとJohn Taylorのデュオ盤である。夕刻の空が無造作に切り取られ、電線まで写った素人の写真(?)がジャケに設えられてる。そう、お似合いのジャケである。暖かく、真剣な演奏は聴く者の心をぐいと動かす。こういう盤を欲しているのだが、なかなかレアである。しかしそれが好い。好いものは稀少な方が好い。
               Charlie Haden&John Taylor
                      『Nightfall』
              (2003年録音 Naim naimcd077)

    他の優れ盤・・

    Jon Larsen『The Next Step』
    Mantra Jazz Trio『Wonder Why』
    Kristian Marcussen『Alfa Omega』
    Roy Powell『Solace』
    Ulf Wakenius『Forever You』
    Denny Zeitlin『Slicj Rock』
              

    18:34 | トラックバック(0) | コメント(0) | Various  | Page Top


    ■2010/09/20(月) 漁盤アナクロニズム2003

    又してもアイ・チューン・ストアで買い物をしてしまった。CDで長い間探していた或るヴォーカル盤が、何のことはなくアイ・チューン・ストアで仮想(?)販売されているのだ。CDという実態は伴なわなくてもアルバム全曲がPCのディスクに保存され、聴くことができるのでるから鑑賞的には何ら問題ないのである。この現実は嬉しいような哀しいような、なんとも言えない気持ちである。血眼で捜していた盤への情熱とこのサックとした現実(より進化すると予感される趨勢)との乖離に唖然としてしまう昨今である。

    今、John Greiner 『From A To B』という盤に収録されている”Remember Me ?”を聴いている。その前に聴いていたコルトレーンの演奏と比較しても遜色がないばかりか逆に甚く感動している。この盤などは殆ど世評に上がる事はないであろうし、よもやアイ・チューン・ストアで販売されることはあるまい。

    そんなこんなで、前回の記載は随分手を抜いてしまった。2003年のデータ・ブックであるが、現在に近づくにつれ面白くなくなってしまうのは何故だろうか?

    イタリアのピニスト Andrea Beneventano の輸入盤を初めて聴いたのは確か出張帰りのDUの片隅だったと思う。ジャケの渋さにすっかりほれ込み即買いした。特に小曲"Traversi's Blues"の疾走感、”Aniram”の美しさと切なさは際立っている。

             Andrea Beneventano
               『Trinacria』
       (2003年録音 Alfa Music FMCD106 )

    ベルギーのピアニストと言われても即答できるほど見聞は広くない。しかし、このMichel Biscegliaの出現で欧州ピアノ界に大きな存在感を得たのではないか、というと言い過ぎか。 どこまでもメロディアス、心の琴線に共鳴する優しくて切ないタッチが聴く者を虜にする。そのうち白いスーツのジャケ写盤を出したら呆れて見限ればいい。こういうピアニストがいても好いじゃないか。

             Michel Bisceglia
          『The Night And The Music』
      (2002年録音 Culture Records CULT10132)

    勿論、完全未発表曲が収録されたEvans の『You Must Believe In Spring』 が発表されたとあれば黙ってはいられない。Evans 後期の、というよりも軟弱でミーハーなピアノ・トリオ・ファンの私としてはラ・ファロ参加の初期盤に加え、これは決して外すことが出来ない名盤である。今更であるが。。

                  Bill Evans
            『You Must Believe In Spring』
      (1977年録音 Warner Bros. 8122-73719-2)

    Terje GeweltというベーシストがChristian Jacobと数枚(多分3枚?)デュオ盤を出しているが、どれも好い出来で気に入っている。Resonant Music という多分ノルウェーのレーベルは私にとって好い音楽を発信してくれるお気に入りのレーベルである。最近どうしているのかな?
      
           Terje Gewelt 『Interplay』
       (2002年録音 Resonant Music RM13-2) 

    これまたノルウェー産である。ピアノだけをバックに哀しい程切ないメロディに詩をのせるヴォーカル盤である。何時でも聴く気が起きる盤ではないが決して忘れることが出来ない。ピアノは心を揺さぶる盤をECMに遺すピアニストTord Gustavsen である。絶妙とは斯く盤を指す言葉だろう。 

            Siri Gjaere-Tord Gustavsen
               『Aire&Angels Ⅱ』
         (2002年録音 Bergland Productions BE 008-2)

    どちらを先に聴いたか忘れたがPierre-Alain Goualch のピアノ・トリオ盤で  『Exploring The Music Of Serge Gainsbourg』という題で、別に何やら日本語の表記があり聴くのに勇気がいるような盤がある。しかし、聴いてみるとそれほど難解なことはなく、むしろ好い出来な盤であった。今回の盤も後、澤野商会が輸入販売しているくらいなので、極めて筋の良いピアノ・トリオであった。

           Pierre-Alain Goualch 
            『Voicei Ma Main』 
          (1996年録音 AS028)

    最近の突飛に優れたピアノ・トリオ盤にAaron Goldberg 『Home』があり、一曲目の出だしを聴いただけで秀逸さを感受した。それは詩における言葉、拳闘における一撃、蹴球における一蹴のように、各優れ物に必ず内在する迷いのない確信の感受である。そんなAaron Goldberg であるが嘗て吹き込んだトリオ盤では今一つパッとしなかったのは何故だろうか。実にこれはMark Turnerの盤である。

           OAMTrio&Mark Tuener
              『Live In Sevilla』
        (2001年録音 Lola Records LR1008)

    このピアノ・トリオ盤には感動した。16歳だったんだね。

         『First Parks』Aaron Parks
     (2000年録音 Keynote Records 10079)

    イタリアン・ハード・バップなる言葉が『なるほどなぁ』と自然に入ってくる。それがこの盤の効用(?)である。ジャケ写、内容とも最高に気に入っている。イタリアン・ジャズを好ましいと思えるのはこんな盤が存在するからである。Schema Records 万歳。

               『Reflections』
              Quartetto Logreco
      (2001年録音 Schema Records SCCD339)

    片や、メカニカルなピアノ・トリオを突きつめて聴いてみたいと言う根源的な衝動が心の片隅にある。Abe Rabade はそんな心に巣食っている衝動を刺激して止まない。もっと早いパッセージをと、飲んでも飲んでも乾きが癒えない病人のように腹膨れるまで水を欲している強欲、それが私だ。

                『Simetrias』
                Abe Rabade
       (2002年録音 Xingra.com XC-0502-CD)


    他の優れ盤・・・

    Tim Richards『Twelve By Three』
    Robert Rook『Introducing』
    Simple Acoustic Trio『20th Getxo International Jazz Festival』
    Juraj Stanik『Shaken Not Stirred』
    Sean Wayland『Lurline』



    15:06 | トラックバック(0) | コメント(0) | Various  | Page Top


    ■2010/09/17(金) 漁盤アナクロニズム2002

    以前は特定の作家だけを読んでいたが、最近本屋に行くと、知らない作家の作品ばかりを好んで選ぶようになった。題名と装丁で選び、パラパラと捲って拾い読みすると、おおよそ雰囲気は掴める。それはジャズCDを漁る際のスタイルでもある。
     
    先の書き込みでドゥービー・ブラザースの"Long Train Runnin’”のジャズ・ヴァージョンをアイ・チューン・ショップで購入した云々と記したが、ブルース括の演奏があり、甚く感動した。 Stacy Mitchhart Band の 『Grown Ass Man』という盤に収録されている(らしい)"Long Train Runnin’”である。この曲はスピード感あるギター・カッティングが命と思いきや、レイドバックした演奏と倦怠感漂うヴォーカルが、よもやの感動を誘う。その方面では高名な方なのだろうか? 既定概念では推し量れないものがある。

    2002年のデータ・ブックではこれという盤がそれ程見あたらない。強いて言うと下記の盤だろうか。特に Sahib Shihab『And The Danish Radio Jazz Group』 は 澤野商会の悪しきデジパックではなく、プラジャケ仕様のものを探し出して所持している。こういう優れた内容の盤がCD化されるのは実に喜ばしい。また、Vladimir Shafranovの『Live In Helsinki』 は、澤野商会製のDVDであるが、指が大写しになっているので運指等をじっくり研究される方にはお勧めだ。

    Antoine Herve 『Summertime』
    Jacob Karlzon『Today』
    Dave Peck『Out Of Seattle』
    Perico Sambeat 『Punto De Partida』
    Sahib Shihab『And The Danish Radio Jazz Group』
    Vladimir Shafranov『Live In Helsinki』(DVD)


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    ■2010/09/12(日) 漁盤アナクロニズム2001

    ある種の作家が描く小説等創作物から受ける感触は最近私が好んで聴くピアノ・トリオを聴いて喚起される感情、感触に近いなぁという感じがしている。そういう類の作家、福永武彦氏の日記が古書市場で発見されたという記事が数日前のウェブ・ニュースに載っていた。日記は1945年1946年、1947年、連続ではなく各年数カ月単位のまとまりで発見されたようだ。日記には北海道に疎開しての創作に対する悩みなどが記されていて、恥ずかしい話だがその記事で初めて池澤夏樹が彼の子供(長男)であることを知った。福永武彦は1918年生まれで1979年に亡くなっているのでこの日記、死後30年以上経過しての発見となる。学生時代熱中して読んだ大好きな小説家であるが、ボ~っと読んできたので戦下の作家という意識がなかった。池澤夏樹が長男であったのか・・・実に感慨が深い。福永武彦と池澤夏樹、静謐なピアノ・トリオとの類似性を上手く言葉にすることができない。

    とうとうアイ・チューンで買い物をしてしまった。実体のないものを忌避していたに関わらず、どうしても聴きたい音楽があり、探していたのだが、厄介になり手を染めてしまったのである(笑) 長谷川きよしというシンガー・ソング・ライター(この呼称はまだ生きているのか?)の”卒業”と”灰色の瞳” Chicago ”Happy 'Couse I'm Going Home”、Yes 『Yessongs』全曲、D.Brothers"Long Train Runnin'”のジャズ・ヴァージョン等々、大昔聴いた懐かしいチューンである。歳をとると、そういう心が軟らかい頃に感動した音楽をもう一度聴いてみたい・・・そういう衝動が湧いてくる。それは単に懐古と言うだけでは言葉が足りない。

    さて、2001年のSJジャズ・データ・ブックである。

    国内盤で発売されたピアノ・トリオである。国内盤*ピアノ・トリオと言えばヴィーナス・レコード(?)。リッチー・バイラークは生理的(?)に苦手なピアニストであったが、この盤を聴き若干インチメートな感を抱いた。かと言って昔の盤に抱く感想は相変わらずであるが。曲想にも拠るのだろうがゆったりとした演奏に幾許かの諦感が絡み心地好い。ジャケ写も哀愁感とシュール感が混ざって好い。

            リッチー・バイラーク『ロマンティック・ラプソディ』
             (2000年録音 Venus TKCV-35091)

    こういう盤を聴くとつくづく世界は広いものだと思う。ポーランドにこれほどの熱くて哀愁感漂うハード・バップ・ジャズが根付いていたのである。しかし流石2000年の吹き込み、現代を感じさせるスパイスが絶妙である。これ以降北欧、特にポーランドのジャズを探索しているが、これに伍する盤はマイケル・トカイ『バード・アローン』位だろうか。ガッツさんに頑張ってもらいたい。
           イエジー・マウエック『バイ・ファイブ』
        (2000年録音 Not Two RecordsGRNT-720)

    勿論こう云う盤が出ると黙っていられない。ジャズ・ファンで多分これを聴いて評価する人は少ないと思うが、私は断固支持する。ベースとドラムスにハープ、アコーディオン、ギターが加わる。変わり者の壺を突く編成である。ジャケ写もベツレヘムらしく、B.ゴールドブラッド拘りの逸品である。

       ルーファス・スミス~ベティ・グラマン
                   『ポインシアーナ』
         (1956年録音 Bethlehem TOCJ-62089)

    ポール・デスモンドは私のアイドルである。CDになったものはCDで、ならないものはアナログで蒐集している。殆どCD化は進んでいるのだが唯一(?)アーティストハウスから出たライブ盤が未CD化である(多分)。この盤もアナログで聴いてきた盤であるが、やっとCDで聴くことが出来るようになった。

           『The Paul Demond Quartet Live』
       (1975年録音 Horison Verve 314543501-2)

    Don Friedman の代表作は『サークル・ワルツ』であるのは疑いがない事実である。奇跡の様な盤であり、どうしたらああいう曲想が演奏が下界に舞い降りてくるのだろうかと訝るようなレベルである。このブログの初めに記した通り、リリカルなピアノ・トリオと内省的な作家の書く文章からインスパイアーされるものにはある種共通の印象を受けるのだが、『サークル・ワルツ』の次点に位置するのはこの盤だろう。それにしても彼の晩年(?)の活動は精力的だ。
          Don Friedman、Marco Ricci、Stefano Bagnoli
                      『Prism』
          (1997年録音Abeat For Jazz AB JZ002)


    11:43 | トラックバック(0) | コメント(0) | Various  | Page Top


    ■2010/09/06(月) 漁盤アナクロニズム2000

    熱帯夜が続く。
    職場では殆ど事務所に籠りきりなので外の暑さが体感できないが、こうして自宅のPCに向かっていると背中に汗が流れ落ちる。陽も落ちてエアコンはつけないで耐えられるかなと思ったのだが、やっぱり駄目である。今日ニュースで外国企業で亜熱帯地域に赴任する社員に出される手当がこの日本でも支給される云々と言っていたが、然にありなんと思った。実に気候がおかしい。

    このシリーズ(?)、いよいよ2000年へ突入である。

    2000年と言えば国内盤では絶品と思っている、ジェームズ・カーターの最高傑作盤『チェイシン・ザ・ジプシー』が録音された記念すべき年である。この盤を初めて耳にした時の衝撃は忘れられない。もともとバリトン・サックスが好きで主だった盤は聴いてきたつもりだったが、これは格段の出来だと思った。重厚にして繊細、清楚にして妖艶、哀愁と流麗が入り混じり、美と醜の相反する概念が飛翔する(??笑)・・・なんだかよく解からないのだが、兎も角感動的である。

          ジェームズ・カーター『チェイシン・ザ・ジプシー』
           (2000年録音 Atlantic AMCY-1255) 

    マイルス、ショーターは数枚のお気に入り盤を除き殆ど聴くことはないが、このErick Gouldのマイルス/ショーター曲集は割と聴いた。どこかに惹かれるものがある。それにジャケ写も堪らない。
            
                       Erick Gould
               
     『Miles Away...Wayne In Heavy』
        (1999年録音 UMOJA Productions 6 57677 99012 )  

    女性ピアニストが好きなのは、単に女性好きなだけではないが、しなやかで美しい指先を想像しながら聴いているのも事実だ。しかし中にはそんな甘い妄想を蹴散らすような剛腕な女性ピアニストや線は細いが芯の通ったピアニストもいる。そんなピアニストの筆頭にSecilia Colemanがいる。彼女のクインテット盤には心底痺れていたのでこのピアノ・トリオ盤が出た時は嬉しかった。

               Secilia Coleman『Higher Standards』
              (1998録音 Interplay Records IP9901)

    イタリアのジャズと聞くとつい膝を乗り出してしまうのは忘れかけているジャズの灰汁を想い出させてくれるからである。Paolo Di Sabatinoのピアノ・トリオ盤が出た時は先を争って購入したが、それは正解で、最近、殆ど市場には出てこない盤となった。

               Paolo Di Sabatino『Threeo』
            (1999年録音 Hallway Records 9709)

    ジャネット・サイデルがこれほど売れるとは思わなかった。今流行りのキュート系とは一線を画した歌唱は本格的ヴォーカルとは言い難いが、その安定感のある歌唱はある種ドリス・デイ的、パティ・ペイジ的である。実にこの二人は私的アイドルであるので、初めて『The Art Of Lounge』の1集、2集で彼女の歌唱を聴いた時は現代のドリス、ペイジの復活であると感動した。この旨味ある歌唱は只者歌手ではない。ところでVol.1は何時出たんだっけ?

            Janet Seidel『The Art Of Lounge Vol.2』
              (1999年録音 La Brava LB 9902)


     


    22:09 | トラックバック(0) | コメント(0) | Various  | Page Top


    ■2010/09/05(日) 漁盤アナクロニズム1999

    土日に亘り新宿のDU中古センターで各店共同の廃盤セールが行われたらしいが、とうとう行かなかった。日曜の今日、午前中は行こうかとも思っていたのだが、エアコンの部屋でOutro Lugar を聴いていたら、外に出るのが億劫になってしまった。ボサノバな曲は人を怠惰な領域へ誘導する何かがある。

    さていよいよ1999年リリース盤となった。国内盤ではこれという物はないが、私的にはシルビア・テリスのKapp盤『ザ・フェイス・アイ・ラブ』と『シングス・ワンダフル・ソングス・オブ・A.C.ジョビン』がCD化されたことが嬉しい。

    ピアノ・トリオは輸入盤しかないと言うと乱暴な言い方になってしまうが、ある部分真実だからしようがない。国内盤の売らんかなの盤には些か辟易していて、優れたピアニストがあらぬ方向へパケージングされるのを見るのは忍びない。輸入盤とてそういう傾向はあるのだろうが、そういう色気は概して低いと感じる。Erminio Cella『Spike』はイタリーのフィロロジーからの盤である。最近このレーベルは好いピアノ・トリオを出すので目が離せない。
      
               Erminio Cella 『Spike』
             (1997年録音 Philology w110.2)

    最近では沈静化したがレア本が出たころは掲載盤が高騰し、何気ない盤までも高値で売られた。このPhil De Greg の盤もそうした一枚である。大学で教壇に立つピアニストが密かに(?)収録した盤などは格好のレア盤ターゲットである。成程にうなずけるスチュエイションであるが。

             Phil De Greg 『The Green Gate』
        (1997年録音 J Curve Records/J Seven J7998)

    この盤は発売当時に買い逃して入手に苦労をした。どこかの廃盤セールで幾分高めの値段でやむなく購入した。Berndt Egerblath は古い欧州ジャズマニアでは必須盤だが、近年こうした優れたDuo盤を収録していたとは驚きであった。マニアではないのでアンテナが低くて情報量が少なくて困るが、それは時として幸運でもある。

             Berndt Egerbladh 『Two Some』
       (1998年録音? Lady Birds Productions LBCD0031) 

    Hal Galperには幾度も『かまされ』ていて、つくづく彼のジャケ写顔を眺め、やっぱりなぁと納得しているのだが、時として好い盤を残すので注意が必要である。そう言う盤が数枚あるが、このPhilologyに吹き込んだJeff Johnsonとのデュオなどはそういう部類の盤で、切れと疾走感のある演奏に痺れた。相方から影響されやすいタイプなのかも。メイベックのデュオシリーズはコンコードが専売かと思ったらPhilologyからも出ていたので吃驚した。

            Hal Galper-Jeff Johnson
               『Maybeck Duets』
          (1996年録音 Philology W 139.2)

    私にとってMichel Herr と Jack Van Poll と言えば伴に諸手を上げて絶賛するアイドルに近い存在である。そんな二人が吹き込んだ盤である。但し、個々に吹き込んだ盤であれば問題はないのだが、一緒というのが不安を掻き立てる。2人の冠ピアニストを起用し、『あれれ』と思った盤を幾つも見てきたからである。しかし、これは中々イケる稀有な盤となった。

          Michel Herr &Jack Van Poll 
          『A Tribute To Belgian Jazz』
        (1998年録音 September CD 5120)

    David Freesen は昔から(・・と言っても多分70年代頃)息長く聴き続けているベーシストである。重厚でいてメロディアスでポップなところ(?)が好い。片やDenny Zeitlinとのデュオである。期待するところ大であったが、思った通りの大傑作である。生涯盤である。

          Denny Zeitlin-David Friesen
           『Live At The Jazz Bakery』
        (1996年録音 Intuition INT3257-2)
        
           



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    ■2010/08/29(日) 漁盤アナクロニズム1998

    基本的にピアノ・トリオ中心の最新盤は売らない方針であった。あったと過去形で記したのは、売ってしまったからに外ならず、やはり何度聴いても駄盤は駄盤なのである。ここでいう『駄盤』とは私にとっての個人的な感想に基づくもので一般性がないことは言うまでもない。気弱な私はいつもこうした言い訳をする(笑)

    過日DUに行くとジャズ批評157号『ピアノ・トリオIn ヨーロッパ』を店頭で発見した。勿論この題名にビビッときた私は即購入。未聴な盤もあるので勉強になる。しかし、一部これはどうなのかという前出の『駄盤』(謝)が収録してあり、出来れば各評者がとことん惚れ込んだ盤を収録して欲しいなぁと感じた。しかし、今まで4冊に亘って特集してきたので重複も考慮しなくてはならないだろうから大変な作業となったのではないだろうか。加えてスピーディに編集しないとリアル感が損なわれるという面もある。ご苦労が偲ばれる。

    1998年は好い盤が多く発売されたので、うちの一部を紹介したい。

    Ellias Haslanger は1994年に発売されたレア盤収録のものがあるが、私的にはこの盤の方が好きで、聴く頻度も高い。しかし、一般的に評価も低く人気がないらしく廉価の段ボール箱に捨て置かれている。一曲目の出だしで痺れてしまう私はミーハーなのだろうか。

          Ellias Haslanger 『Kicks Are For Kids』
       (1997年録音 Heart Music 0020-60017-2)

    Chack Islaels と言えばエバンス・トリオを連想する。彼がリーダーになって、これまた大好きなピアニスト、David Gazarovを迎え素晴らしい盤を作った。D.Gazarov と言えば余り話題にはならないが突飛に素晴らしいピアノ・トリオ盤が1枚あり私的には注目度大のピアニストである。この盤は別のレーベル(ガザレブ)からも出ていて探していたのだが、レア盤でAnima  Recordsの盤が紹介がされ、後年入手してみると同一盤であることが分かった。私的にはガザレブの方が好きなので今でも入手したい盤である。

         『Meeting On Hvar』Chuck Ialraels
      (1991年録音 Anima Records DV-CD 001)

    犬のジャケが印象的なスエーデンの盤であるが、この盤も一般的には人気がなく、廉価の段ボール箱に捨て置かれている。数曲Steven Snyder のピアノ・トリオで他はRブレッカー、Jシロのどちらかの管が入る構成で、出来は相当好い。定期的に聴きたくなる盤である。


            『Jazz Unit』
     (1996、1997年録音 Pama Records PACD 97061 )

    何度も採り上げているので今更な盤である。こういう分かり易い盤はミーハー的だが、聴いて感動するのだからしようがない。演奏は言うまでもないが、その曲の素晴らしさに深い感銘を受ける。


          Jean-Pierre Mas『Waiting For The Moon』
          (1998年録音 Saravah SHL 2092)

    13:25 | トラックバック(0) | コメント(0) | Various  | Page Top


    ■2010/08/23(月) 漁盤アナクロニズム1997

    深夜、2階の西向きの私の寝室の窓を開けると大きな檜の枝々を縫って涼風がそよそよと吹き込む。ちょうどお釈迦様のようにベッドに横になると汗ばんだ身体に風が心地好く当たり汗を静かに退かせてくれる。そんなささやかな夏の楽しみがあったのだが、とうとう異常気象の今年はエアコンに頼ってしまった。実に残念なことである。

    今日の新聞にHMV渋谷の閉店記事が載っていた。98年をピークにCDの販売は緩やかに降下し、現在はそのピーク時の4割に規模は縮小したようだ。ネット販売や音楽配信(順法/違法)の影響もあるのだろう。きっとDUとて苦戦を強いられているに違いない。

    さて恒例の、今回は1997年のデータ・ブックから何枚か紹介したい。

    国内盤は然ほど好いものがないというのが慣例であったが、1997年には数枚どうしても採り上げたい盤がある。オムニバス形式のピアノ・ソロ集であるが、なかなか捨てがたい盤である。聴く度胸が締め付けられるような気分になる。宛も淡い恋心を抱いていた遠い昔を想い出させてくれるような盤である。ピアニストが好い。スティーブ・キューン、ケニー・バロン、ギル・ゴールドスタイン、フレッド・ハーシュ、ハロルド・ダンコ、ビル・メイズの6人。説明不要のセンシティブなピアニストの面々である。しかも演奏曲が堪らない。チャップリンの名曲"スマイル"をスティーブ・キューンが遣る瀬無く淡いタッチで奏でる。ギル・ゴールドステインはあのサティの名曲"ジムノペディ第一番"を遥か遠い記憶を朧に想い出すように奏でる。また、ビル・メイズの"いそしぎ"も一音一音紡ぐようで好い。ケニー・バロンの"メモリーズ・オブ・ユー"が切ない。

             『メモリーズ』S.キューン他
            (1997年録音 Avino TKCB-71241)

    もう一枚、国内盤。ティエリー・ラングがブルー・ノートに吹き込んだ虚飾を排したピアノ・トリオの名盤、そのまま『ティエリー・ラング』(邦題:『ティエリー・ラングの世界』)のネーミングに自信のほどが窺われる。全9曲の中、アイ・ポッドへ5曲も収録したほどである。

             『ティエリー・ラング』
          (1996年録音 Blue Note TOCJ-6094)

    おどろおどろしいジャケである。どこか不安を掻き立てられるような盤であるが、DDQでればそう大きなハズレはないだろうと思い購入。最近廃盤セールで高値で取引されているらしい。エヴァンス派という言葉を久しぶりに意識した。 
                                      Fausto Ferraiuolo
             『The Secret Of The Moon』 
                          (1996年録音 DDQ 128019-2)

    最近、ドライブの途上、この盤を大音量で聴き、これはやはり凄いピアノ弾きだと再認した。才気あふれるとはこういう人を指すに違いない。数年に一枚の奇跡的名盤である。手放しで素晴らしく桁違いの出来なので他の盤が聴けなくなるから困る。
              Michiel Borstlap
               『Residence』
           (1996、1997年録音Via Jazz CD992.015.2)

    Jan Lundgrenを最初に聴いたのはファースト盤で、その素晴らしさに舌を巻いた。流石の北欧盤であると思った。以来、事あるごとに彼のリーダー/参加盤を漁ったがファースト盤とこの盤には特に参った。ジャケもファンタスティック。
            Jan Lundgren
          『Swedish Standards』
       (1997年録音 Sittel  SITCD9246 )






         

    21:56 | トラックバック(0) | コメント(0) | Various  | Page Top


    ■2010/08/14(土) 漁盤アナクロニズム1996

    余すところ夏期休暇も今日明日の2日となった。何する訳でもなく過ぎて行くのは毎回の休暇の慣例なので然したる感慨はない。但し、ほぼ毎年やっているのは増殖したジャズ盤の整理で、今年は300枚ほどを処分した。最近は試聴して購入するのでそれ程大きなハズレはないのだが、それでも整理を要する盤が出てくる。半数に分けて売却したが、お茶水DUの査定時間の長さには参ってしまった。古参の顔馴染みの店員さん曰く、査定が終わるのが午後5時近くになると言う。車を明治大学の駐車場に入れて久しぶりにお茶の水~神保町界隈を散策することとした。ボ~っと散策をしている途上、今日6時半から会議があることを知らせる旨の電話があった。『案の定忘れていた』と家人が言うとおり、案の定全く忘れていたので、今から引き返しても間に合わないので連絡をとり欠席する。結局1時から6時近くまであの界隈をぶらついたことになる。昔行った、中古レコード屋は遠目に見ると閉まっていた、閉店してしまったのか、たまたま休日であったのか定かではない。また、昔良く食べに行った新潟のラーメン屋も確かこの辺だっと何度も裏通りを行き来したが見つけることができなかった、多分閉店したのだろう。時間の経緯を感じた。

    マイケル・ブレッカーの後ろ姿盤を表紙にした1996年のジャズ・データ・ブックだが、この年の国内盤も特段気に掛かる盤はなかった。

    Dog Arnesen はセンシティヴなピアニストの筆頭である。北欧のピアニスト特有のクラシカルな素養に裏打ちされたテクニックに加えジャズのエモーションが適度に濾過されて心地好い。こうした音楽に慣れてしまった事が幸か不幸か解からないが、聴くべき音楽の幅が広がったのは確かだ。ベーシストのTerje Geweltも好い味を出している。売れたので後年ジャケを変え嫌いなデジパックで再発された。が、この鰻の様なジャケ画が好きだ。ジェミニを含めこのレーベルは魅力的だ。
              Dog Arnesen 『Movin'』
          (1994年録音 Taurus Records TRCD832)

    上記Dog Arnesenもキース派という括りらしいが、イタリアのPiero Bassiniもキース派と呼ばれる。『Nostalgia』を筆頭、成程Splas(h)の殆どの作品を聴くとキース臭がない訳ではないが、エヴァンス臭だってするし、ハービー臭だってする。そういう括りはナンセンスである。より内省の美を極めて欲しいピアニストである。
             Piero Bassini 『IT.6V』
          (1996年録音 Splacs(h) CHD 484.2)

    優れた素養のピアニストは確かにいる。同じ曲が何故にこれほどの違いがあるのだろうと、その演奏の総体の違いを感じる事が間々ある。それは一言センスだとかテクだとかの違いと言えばそうなのであろうが、何か言いようのない歴然としたあるものが横たわっている気がする。Joey Calderazzoはそういう違いを見せつける側の筆頭のピアニストである。比較される側は堪ったものではないだろうが。しかし、誰でもそうであるがいつも全開でいる訳にはいかない。そんな小雨模様の盤がこれだ。
          Joey Calderazzo『Our Standards』
                 (1995 年録音 Gowi CDG 32)

    EST盤の中でも最も好きな盤かも知れない。モンクをこれほどスリリングに優雅に緊張感をもって繊細に演奏した盤を他に知らない。あり得ない絶妙な間合い、そして音、これらは一体どこから舞い降りてきたのだろう。真に奇跡的な演奏と言える。
           Esbjorn Svensson Trio
              『Plays Monk』
       (1996年録音 Superstudio GUL C- 1)

    Ulf Wakenius のギターに惚れ込んだのはこの盤を聴いてからだ。N.H.O.ペデルセンの盤で彼のギターを耳にして以来どうにも気になっていたが、とうとうこの盤に巡り合ってしまった。アコギの爪弾くバラッズの一音一音が心の襞の奥底へ沁みる快感。
             Ulf Wakenius『Enchanted Moments』
           (1995、1996録音 Dragon DRCD-278)

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    ■2010/08/12(木) 漁盤アナクロニズム1995

    昨日、アイポッド・クラッシクを買った。今まで使っていた16GBのものでは容量が不足で、手持CDの収録と将来の動向を考えるととても対応が困難と判断したためだ。今回のものは160GBで10倍ほどの容量がある。PCにストックしている音楽は35GB、4300曲ほどあったが楽に収録出来て感動している。まだ未収録盤が2/3程あるがお気に入りの曲が平均して盤に3曲ほどなら収録は可能となる計算だ。唯一難を言えば携帯には不便な大きさである。

    さて、1995年のデータ・ブックを眺めると、いよいよ輸入盤の目覚ましい躍進の年となった。

    1994年録音 Aleessandro Galati の 『Traction Avant』という盤はマニアックなピアノ・トリオ・ファンに徐々に熱い視線の注がれる盤となっていった。私の周りにもこれは好い盤であるという噂がたちのぼり、気づくと入手は困難な盤となっていた。幸い早い時期に入手していたのでセールでの高額な争奪戦は避けることができたが、再発が成った最近までは、希少さを誇る一枚であった。何よりもクラッシク・カーをあしらったジャケ画に心奪われる。再発をされた現在でも既に市場で目にすることはあまりない様な気がする。好いものは市場から失せる足が極端に速い。皆、好いものを知っているのだ。
               Aleessandro Galati 『Traction Avant』 
            (1994年録音 Via Veneto Jazz VVJ 007)

    John Horler は英国のエヴァンス派ピアニストとしてSJ誌のデータブックでも評さている。しかし、私は発売された何枚かのピアノ・トリオ盤を聴くが、エヴァンス派というレッテルを意識して聴くことはない。彼ばかりではなく他のエヴァンス派と呼ばれるピアニストもそうである。好んで影響を前面に押し出しいる者や、デディケートを謳っている盤だとかは別としても、何でもエヴァンスの影を見つけながら聴くことに何か意味があるのだろうか。大なり小なり誰か先人の影響は受けて然るべきだろう。ところでこの盤はエヴァンスに捧げられていたのかな?
             John Horler『Lost Keys』
        (1993年録音 Master Mix CHECD00109) 

    嘗てティエリー・ラングの希少盤を入手するため夜を徹して廃盤セールに列んだ事があった。若かったということもあるが、その盤は嘗てどこでも目をしたことがなかった盤(オークション、廃盤セール、海外ウェブ・ショップ等々)で、これは夜を徹して入手するしかないと判断したのである。そこまでしたのにはその素晴らしさを確信した何かがあるのは言うまでもないが、その一因でもあるのが 1993年録音、この『Private Garden』である。件の盤は勿論入手した。
                Tierry Lang『Private Garden』
            (1993年録音 Plainis Phare PL1267 -85)

    Lynne Arrialeは凄いピアニストである。女性だからということで聴きだしたのは邪な動機からだが、彼女のライブ盤を聴きその凄さにぶっ飛んだのである。以来殆どの作品を渉猟した。この盤は人気のあるレア盤で入手に手間取った記憶がある。国内盤でも発売されたか。ジャケ写に芯の強さが見える。
               Lynne Arriale『When You Listen』
                (1994年録音 dmp CD-511)

    オールド・スタイルのピアノ・トリオに凝っている。正確にオールド・スタイルというのかどうか疑問だが、一般的なピアノ・トリオのドラムスの代わりにギターが入ったものである。古くはナット・コール辺りからだろうが、オス・ピーにもその編成が多々あるし、探せば結構好い盤が埋もれている。この編成の好いところは各位の自立航法的な演奏が聴けるところとギターソロが堪能できる事である。これも埋もれていた好い盤の一枚である。 
              『Michel Moore Trio  Plays Gershuwin』 
              (1993年録音 Master Mix CHECD 00210)

    これは後年、聴いて惚れ込んだ一枚である。 Aldo Romanoは何枚もリーダー盤を吹き込んでいるベテランのドラマーであるが、そのジャケの佇まいの好さと、参加者に惹かれ聴いてみた。聴くとその深い寛ぎ感に吃驚。多分若い頃には決してわからなかったものである。彼の作品ではまだこれに及ぶものはない。(聴きこみが足りないのかも知れないが・・)Paolo Fresuが俄然光る。
              Aldo Romano 『Non Dimenticar』
             (1993年録音 MLP 518 264-2)

    シンプル・アコースティック・トリオではこの盤以外に有名な盤があるので、これは余り採りあげられる事は少ないのではないかと思う。クリストフ・コメダの作品を演奏しているピアノ・トリオ盤である。コメダと聞くと避ける人が多いと思うが私もその一人である。しかしこの盤については素晴らしい内容であった。だまされたと思って聴いてみろ盤である。・・・誰かのフレーズだっ(謝)
               Simple Acoustic Trio『Komeda』
              (1995年録音 Gowi CDG-22)

    Martial Solalは凄い。年齢や経歴はさて置いて、この盤を聴けばどんなに凄いかが理解できる。年齢の割にとか、経歴の割りにとかの、小手先の評価は消し飛んでしまう。こういう盤が作れるジャズは最高である。
               Martial Solal『Triangle』
             (1995年録音 JMS 18674-2)             
               

          


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